【3月6日 AFP】アフガニスタン東部ガズニ(Ghazni)州の裁判所で行われた上訴審で、殺人の罪で死刑を言い渡された被告の男(75)がひざまずき、命乞いをする──。被告は、義理の娘との性的な関係をうわさされ、それに対する復讐(ふくしゅう)として親族の一人を射殺したと認めている。

 被告の裁判ではシャリア(イスラム法)に基づくキサース(同害報復刑)が適用され、公開処刑の判断が下された。「目には目を」は同害報復の原則を表す言葉だ。

 上訴審で被告は「遺族とは和解した」と述べ、「示談で合意したことを証明できる人が何人かいる」と訴えた。

 ガズニ州の裁判所でAFPに認められた取材は、2021年8月に政権復帰を果たしたイスラム主義組織タリバン(Taliban)が、シャリアをどのように適用しているかを垣間見るまれな機会となった。

 2001年に旧タリバン政権が崩壊した後、アフガンには新しい司法制度が構築され、多くの女性が活躍の場を得た。しかしタリバン復権後、その制度は廃止され、裁判や量刑などはすべて男性が取り仕切るようになった。

 シャリアは、世界のイスラム教徒の生活規範として機能しており、謙虚さのほか、金銭の問題や犯罪などに対しても指針を与える。

 しかし、タリバンが用いるシャリアは、大半の現代イスラム国家が取り入れていない極刑や体罰をも含み、世界で最も極端な解釈の一つとなっている。

 ガズニ裁判所のモヒディン・ウマリ(Mohiuddin Umari)所長は、現在の司法制度と前の司法制度は大きく異なり、「空と地球を比べるようなものだ」とお茶を飲みながらAFPに語った。