■神はわれわれを導く

 ガズニの裁判所では、西洋式の法廷は使用されず、別の小さな部屋で審理が行われる。古いストーブで暖められた部屋には被告がひざまずくためのじゅうたんが敷かれ、隅には宗教書数冊とカラシニコフ銃が置かれた二段ベッドがある。

 若い判事のムハマド・モビン(Mohammad Mobin)氏(34)は、「もし被告の主張が証明されれば、判決は見直されるだろう」と話す。「ただ、証明できない場合は、シャリアに基づきキサースが適用される」

 モビン氏によると、タリバン復権後にガズニの裁判所では10件以上の死刑判決が言い渡されたが、控訴手続きのためにいずれも執行されていない。

「死刑の判断は簡単にはできない。われわれは注意深く進めている」とモビン氏。「ただ確固とした証拠があれば、神はわれわれを導き、死刑囚への同情は無用であると教えてくれる」と語った。

 上訴審で被告の訴えが退けられれば、最終判断はカブールの最高裁と最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ(Hibatullah Akhundzada)師に委ねられる。全ての極刑には同師が執行命令を出す。

 タリバンは昨年末、政権奪取後初めて公開処刑を行った。

 汚職・腐敗を監視する国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)」によると、アフガンは2021年度の腐敗認識指数で180か国中177位だった。同国の裁判をめぐっては収賄がはびこり、判決まで何年もかかることが知られている。

 ウマリ所長は全ての判決は徹底的に精査され、もし判事の間違いがあれば調査の対象になると述べた。

 しかし、親族を殺人した罪で死刑判決を言い渡された高齢の被告は、弁護士もおらず、自らの主張を述べる時間はわずか15分で終了したと嘆く。

「裁判所は私に死刑判決を出すべきではない」と被告の男性。「わたしは刑務所に8か月以上収容された。彼ら(被害者の遺族)は私を許してくれると言っていた」と手錠をかけられた手に数珠を握り締めて訴えた。(c)AFP/Estelle EMONET and Qubad WALI