【1月9日 AFP】マルワさん(19)は、アフガニスタンの首都カブールにある医大の入学試験に合格したばかりだった。一家で初の女子大学生として、3月から看護学部に通うのを楽しみにしていた。

 だが、同国の実権を握るイスラム主義組織タリバン(Taliban)は昨年12月20日、大学での女子教育の無期限停止を命じた。マルワさんは一人で大学に通う兄をつらい気持ちで見送ることになりそうだ。

 タリバン復権から約1年半、アフガン女性の自由は奪われる一方だ。「女性は斬首だと命じられたほうがましだった」と、カブールの自宅でAFPの取材に応じたマルワさんは言った。「こんな不運に見舞われるくらいなら、生まれてこなければよかった」

「私たちは動物よりひどい扱いを受けている。動物なら勝手にどこへでも行けるけれど、私たち女性は家から一歩出る権利さえない」

 一つ年上の兄ハミドさんは、カブールの大学で経営学を学んでいる。マルワさんは兄と一緒に毎日キャンパスに通えると心を躍らせていた。しかし、今や二人の未来は別々のものになってしまった。

「妹にも共に夢をかなえてほしかった。いろいろな問題を乗り越えて、12年生まで勉強を続けてきたのに。言葉もない」とハミドさんは悲しむ。

■打ち砕かれた夢

 2021年8月に実権を掌握したタリバン暫定政権による大学での女子教育禁止令には、世界中から憤りの声が上がった。イスラム諸国も例外ではなく、禁止令はイスラムの教えに反していると批判している。

 タリバンのネダ・モハマド・ナディーム(Neda Mohammad Nadeem)高等教育相は、女子学生が服装規定や男性親族の同伴で登校する決まりに従っていなかったと主張した。

 だが、一部タリバン関係者によれば、最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ(Hibatullah Akhundzada)師の顧問を務める強硬派聖職者たちが、新しい女子教育にすこぶる懐疑的だというのが実情だ。女子中等教育も、アフガニスタンのほとんどの地域で禁止されている。

 ここ数か月間、女性は徐々に公の場から締め出されている。公務員も職場を追われるか、かつての給与のほんの一部だけを支払われながら自宅待機を余儀なくされている。

 男性親族の同伴なしでは女性は遠出も許されず、公共の場では全身を覆う服装を義務付けられ、公園、遊園地、スポーツジム、公衆浴場への立ち入りも禁じられた。

 マルワさんとハミドさんの家庭は貧しいが、両親はきょうだいの進学を応援してきた。一家の唯一の稼ぎ手である父親は、野菜を売って家計を支えている。

 マルワさんは助産師になるのが夢だった。女性が医療サービスを受けられないアフガニスタンのへき地を訪問しようと考えていた。「出産で母親の命が失われることのないよう、遠隔地で女性のために働きたかった」

 今後、マルワさんは家にとどまって6人の弟妹を教えることになる。