■なぜ現地自然保護区施設、関連保護施設でなく水族館なのか

 中国科学院の研究員によると、長江の自然環境は回復しつつある。スナメリの個体数が激減していた状況から、このままいけば一定の保全が可能で、近い将来には個体数も回復する見通しだという。

「すでに長江の中流から下流にかけて多くの保護区が指定されている。各指定保護区は一定の個体数を確保し、全体で約100頭の個体が保護されている。しかし本来、こういった自然保護区を多く作るようになった理由は、突発的な自然環境リスクや人為的要因などによる影響を避けるためだ」と、この研究員は水族館への移送には否定的だ。

 これに対し、瀋陽理工大学(Shenyang Ligong University)生態研究室の周海翔(Zhou Haixiang)主任はスナメリの移送支持派だ。

「長江の環境回復にはまだ一定の時間が必要だ。現在の自然保護区内の繁殖状況は楽観的だが、これら保護区の生態は比較的単一で、保護区内で万が一問題が起これば、区域内すべてのスナメリに脅威を与えることになるだろう」(c)東方新報/AFPBB News