【10月15日 東方新報】中国・長江(揚子江、Yangtze River)に生息する絶滅危惧種のスナメリ。以前、中国・農業部長江流域漁政監督管理弁公室(長江弁)は、スナメリの繁殖保護地域内の2地区から14頭のスナメリを選別し、国内2か所の水族館に移送することを発表していたが、現在これが動物愛護者や専門家の間で注目を集め、論争になっている。

 中国のニュースサイト、澎湃新聞(The Paper)の記者は、長江弁の趙依民(Zhao Yimin)副主任、中国野生動物保護会(China Wildlife Conservation Association)・水生野生動物保護分会(水野分会)の李彦亮(Li Yanliang)会長や関連の専門家などに取材を行い、論点をまとめた。

 長江弁の趙副主任は、「水族館との契約期間は3~5年で、水族館にはこの期間内にスナメリの人工環境下における繁殖技術面で基準を満たすことを要求している。水族館側はこうしたプレッシャーを跳ねのけなくてはならない。そうでなければ、社会に対し説明がつかない」と話す。

 趙副主任によると、政府は継続的に水族館側の作業進捗を監督しており、もし今後、水族館がスナメリの繁殖・育成における条件を満たせなかった場合は、「再移送も含めたしかるべき調整措置」を取るという。

 また、注目を集めていたスナメリをイルカショーなどの目的のために訓練するのかという点について、趙副主任は「スナメリを移送した水族館は展示のためであって、ショー目的ではない」と強調している。