【5月9日 AFP】2022年にロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻を開始した後、モスクワではすぐに恐怖と不信感が広がった。

一部の政府高官や実業家は治安当局による監視や盗聴を恐れ、重要な会議の前にスマートウォッチを外したり、スマートフォンをブリーフケースに入れたままにしたりするようになった。

ロシア中央銀行の元顧問アレクサンドラ・プロコペンコ氏(40、女性)は仏パリでAFPのインタビューに応じ、「人々は猜疑心にさいなまれ、話すどころか考えることさえ恐れるほどだ」「これは完全に偏執的な、スターリン主義的な恐怖だ」と語った。

プロコペンコ氏が最近出版したロシアのエリート層に関する著書(英語版は年内に出版予定)によると、ロシアの高官の一部は盗聴器から身を守るために一風変わった手段を取っている。

2022年の高級カフェでの会議中、ある若い副大臣(男性)は監視を恐れるあまり、iPhone(アイフォーン)の上に座っていた。

くぐもった着信音が尻の下から聞こえてくると、顔を赤らめて電話に出て「会議中だ」と小声で伝えて電話を切り、iPhoneを再び尻の下に戻したという。

プロコペンコ氏の著書「主権者から下僕へ:ウクライナ侵攻はいかにしてロシアのエリート層を変容させたか」は、ロシアの高官や実業家への綿密なインタビューに基づき、エリート層が当初の衝撃にもかかわらず、いかにしてプーチン氏の戦争を受け入れ、可能にさせたかを検証している。