【3月29日 CNS】中国では最近、「求人の波」が起きている。

「大量の従業員を募集しています。求職会場に行って、腕をつかんでそのまま人を連れてきたいほどです」。そう話すのは、浙江省(Zhejiang)で縫製工場を経営している張雷(Zhang Lei)さん。契約件数が増え、工場をフル稼働させたいが人手が追いつかない。30人の熟練労働者と10人程度の臨時労働者を急ぎ必要としている。張さんは賃金を30%アップした上で、求職会場に出向いたり仲介業者に電話したりしている。

 労働集約型の企業では、人材の「奪い合い」が激しくなっている。就活フェアから自分の家電工場に戻ってきた王江(Wang Jiang)さんは「注文はあるのに、人手が足りない。製造業の人手不足は深刻なので、互いに奪い合っている」と話す。王さんは出稼ぎ労働者のため、年に8日間の帰省休暇を認め、さらにお見合いパーティーを開催している。

 国営中国中央テレビ(CCTV)によると、2025年までに中国の製造業の主要10分野で3000万人近く人材が不足し、不足率は48%に達すると推定されている。2021年の国家統計局の調査によると、製造業の企業の約44%が「人手の確保が最大の問題」と報告している。

「多くの企業が業務に適した労働者を見つけられない一方、多くの労働者は自分に適した仕事を見つけられない」。張雷さんは、労働市場の需要と供給が不均衡だと説明する。求職者の側から見れば、コロナ禍で省をまたいだ移動ができなかった時期、仕事先は近場に限られたが、今は長距離の移動ができるようになった。

 業界関係者は「2023年は雇用にとって重要な年になる」と指摘。衣料品、小型家電、自動車部品、飲食業など、多くの労働集約型産業が人材の確保に悩んでいる。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News