【4月7日 AFP】エチオピア北部ティグレ(Tigray)州にある軍駐屯地で営舎の一室に閉じ込められ、エチオピア兵にレイプされたとティアハスさん(仮名、40)は明かした。兵士らは毎日1回、多い時は10人も外に並び、「まるで水くみにでも来たように」順番待ちしていたと話す。

 ティアハスさんは、紛争下のティグレの州都メケレ(Mekele)の路上で日中、兵士らに連れ去られた。それから2週間、集団暴行は続き、その後、車で家まで送り返されたが、その2日後、外出禁止令が敷かれている夜間に自宅に押し入ってきた1人の兵士にレイプされた。隣の部屋では幼い3人の子どもがおびえていた。

「もうティグレでは安心して暮らせない。軍服を見ただけで怖くてたまらない」と、ティアハスさんは治療を受けている保護施設でAFPに語った。「今でもショックです。こんな目に遭うなんて、ティグレの女性が一体何をしたというんだろう」

 ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を2019年に受賞したエチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は昨年11月上旬、ティグレ州の与党「ティグレ人民解放戦(TPLF)」が同州の連邦政府軍の拠点を攻撃したとして、TPLF指導者を拘束するため、部隊を現地に派遣。11月下旬、アビー氏は軍事行動の「完了」を宣言したが、戦闘は続いている。この4か月、レイプ被害の報告が絶えないと現地の医師や看護師らは証言する。多くの場合、兵士が関与している。

 メケレ市最大の病院の医療従事者は、戦闘開始以来、エチオピアや隣国エリトリアの兵士から集団レイプを受けて治療を受けに来た女性は20人を超えると述べた。

 この数字は被害全体のほんの一部だと医療従事者らは指摘する。戦闘が続く中での受診は難しく、紛争が終結しても、レイプ被害者が汚名を恐れて被害を明かさないことも多いからだ。

 ティグレの女性の権利活動家サバ・ゲブリームディン(Saba Gebremedhin)氏は、この紛争には性暴力が付いて回り、それは決して偶然ではないと思うと指摘した。「女性だけではなく、ティグレの人々すべてに屈辱を与え、非人間的に扱う兵器として(性暴力が)利用されている」