【4月10日 AFP】首都カブール(Kabul)の暗い街角で、監督がカメラを回し始めるよう指示する。保守的なアフガニスタンで、女性に関するタブーに大胆に挑戦する新しいテレビドラマの撮影が開始した。

 主役の女性、シェリーンが街の行商人から買い物をすると、突然、独占欲が強い乱暴な夫が彼女の体をつかんだ。しかしタフで、愚かなことが嫌いなシェリーンはそんな行為を許さず、2人の間でケンカが始まる。

 アフガニスタンのテレビで年内に放映がスタートされるドラマ『シェリーンのおきて(Shereen's Law)』は、3人の子供たちを女手一つで育てながら、カブールの裁判所で書記として働く36歳の女性を描いている。


 圧倒的な男性中心社会で、ほとんどの女性が家庭に閉じ込められているこの国では、このような登場人物を描くことだけでも、かなりの衝撃である。しかしドラマはさらに汚職やハラスメント、レイプなどと闘い、強制的に結婚させられた夫と離婚しようとするシェリーンの姿を描き、その衝撃度を飛躍させていく。

 タリバン(Taliban)政権の崩壊から13年以上が経過した今でも、アフガニスタンには伝統的な慣習が根強く残り、テレビでこうしたドラマが放映されたことは一切ない。

 主役のシェリーンを演じるアフガニスタン人女優のリーナ・アラム(Leena Alam)さんは「これは、アフガニスタンの女性の闘いを描き、女性たちに力を与える初めてのドラマなのです」とAFPに語った。