■TVドラマによる社会変革を目指して

 ドラマの監督と脚本家を務めるのは、アフガニスタンで活動するオーストラリア人のマックス・ウォーカー(Max Walker)氏だ。彼は「保守的な聖職者たちに注目されすぎないよう、事前にアドバイスを受けた」と語る。「そうした問題を提起しながらも、あまりにも単刀直入で攻撃的になりすぎて番組が放送禁止にならないように、非常によく話し合い、脚本をよく見直した」

 1996年から2001年まで続いたタリバンの強硬的な政権下では、テレビが禁止されていた。しかし国際開発組織、アジア財団(Asia Foundation development organisation)によると、現在では国内の58%の家庭にテレビがあるという。

 アフガニスタンで人気があるのは、トルコやインドから輸入されるメロドラマで、『シェリーンのおきて』はそれらの番組と厳しい競争を強いられることになる。

 カブールのコンサルティング会社ATRの創業者で代表を務めるアンネ・ジャシム・ファルハー(Anne Jasim Falher)氏は、アフガニスタン社会を長い間見守ってきたフランス人女性だ。そのファルハー氏は「テレビは、人々の姿勢を変える役割を果たすことができる」と語る。

「テレビは、強制的な結婚に関する人々の考えを揺るがすことに成功してきた。女性への暴力や家庭内の暴力についても、同じことができるかもしれない」とファルハー氏は期待する。

 45分間のエピソード12回で構成されるこのドラマは「トロ(Tolo)」というチャンネルで放映される。2004年に開設されたトロは、主に外国人の出資者によって資金がまかなわれている放送局で、アフガニスタンのニューメディア界での成功例の一つだ。

 そのトロを所有するメディアグループ「モビー(MOBY GROUP)」は、女性と男性の司会者を隣に座らせて出演させたアフガニスタンで初めての放送局であり、この分野では先駆的な役割を果たす。モビーの番組ディレクター、マスード・サンジェー(Massood Sanjer)氏は「私たちは女性に声を与えるために、時にバリアを超えて行動を起こさなければならない」と話す。

「アフガニスタンでは、人々に『これをやれ』と直接的に言っても、聞く耳をもたれない。でも、正当な理由を与えて考えさせれば、人々はそれを実行に移す。だからテレビ番組は、アフガニスタン社会で支配的な力を握る男性たちに、女性もまた、この国や彼らの人生、そして家族の一部なのだということを考えさせる助けになるだろう」とサンジェー氏は語った。(c)AFP