中国の研究者 野生イネの遺伝的多様性の謎を解明
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【4月23日 CGTN Japanese】中国科学院分子植物科学卓越創新センターによると、同センターの韓斌院士(中国科学院とは「中国科学アカデミー」の意。同院院士とは、「同アカデミー会員」の意)の研究チームはアジアにおけるイネの栽培種145種とその祖先種である野生イネの高精度ゲノム解読を世界で初めて完成させ、現在のところ解像度が最高の「野生イネ‐栽培イネ汎ゲノムマップ」を作製しました。このことで、野生イネの広範な遺伝的多様性が体系的に解明され、アジアにおける各系統の稲の栽培種と栽培種化の経路が包括的に解析されました。この研究成果は16日、国際学術誌「ネイチャー」の公式サイトに掲載されました。
韓院士のチームの研究成果は「リファレンスゲノムレベル」と呼ばれる詳細さがあり、その栽培イネ-野生イネ汎ゲノムは、従来の単一リファレンスゲノムによる研究に、6万9531の遺伝子を形成する38億7000万の塩基対を追加しました。新たに示された遺伝子のうち約20%は野生イネに特有で、病害抵抗性や環境適応性などの形質と密接に関連していることが確認されました。この研究により、野生イネの病害抵抗遺伝子の豊富さと多様性が栽培イネと比べて際立って豊富であることが判明しました。
また、高い質で明示されたゲノム配列に基づいて、アジアの栽培イネ各系統の初期の重要な栽培化遺伝子をハプロタイプ分析と呼ばれる手法で調べた結果、すべてのアジア栽培イネの栽培化に関連する部位がジャポニカ米の祖先である「Or-IIIa」に由来することが証明されました。このことで、「アジア栽培イネ単一起源説」の論拠がさらに固められ、数十年にわたって続いてきた学術的論争に極めて重要な証拠が提供されました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News