【2⽉8⽇ Peopleʼs Daily】2023年の中国の自動車輸出は491万台だった。100万台を初めて超えたのは2012年で、200万台を突破したのは2021年、翌2022年には300万台を突破し、2023年には500万台に近づいた。中国の自動車輸出は急加速している。

 江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)にある太倉港の海通太倉自動車積み出し埠頭(ふとう)には、2万台を収容できる駐車場が設けられている。しかし、スペースは不足気味だ。関係者は「自動車がまとめて運び出されても、数日もたたないうちにまたいっぱいになります」と説明した。埠頭は今も建設中で、完成後の年間取扱能力は130万台に達する。南京税関によると、太倉港での2023年1-11月の完成車輸出は前年同期比157パーセント増の39万7300台だった。

 自動車輸出では、電気自動車(EV)など新エネルギー車が重要な位置を占めている。2023年の中国の新エネルギー車輸出は前年比77.6パーセント増の120万3000台だった。

 EVは輸送中に充電量を20-50パーセントに維持せねばならない。そのため輸送船には充電施設が必要で、さらに車両の電力関係に由来する火災などのリスクを防ぐための専用の火災監視設備や防火材料なども必要だ。

 中国遠洋海運集団(China COSCO Shipping)傘下の中遠海運特殊運輸の関係者によると、新エネルギー車を輸送するために、設計所や造船所などと協力して貨物室を改造した。同社は新エネルギー車を輸送できる多目的船を30隻以上保有するに至ったという。

 海運業はグリーン・低炭素の理念の実現を加速している。中遠海運特殊運輸は自動車輸送専用の大型LNGダブル燃料運搬船を24隻発注した。招商局集団(China Merchants Group)傘下の招商局金陵船舶は、自動車輸送船にLNGエンジンとバッテリーのハイブリッド技術を投入した。従来型のコンテナ船と比べて、ダブル燃料動力の超大型コンテナ船は炭素排出を20パーセント、窒素酸化物は85パーセント、イオウ排出は99パーセント削減できる。

 自動車輸出の強みを育てるために、中国の各地方政府や業界団体は自動車企業と海運企業の中長期のマッチングを誘導している。

 上海汽車集団(SAIC)傘下の上汽安吉物流は2022年上半期、江南造船所に7600台を積める自動車運搬船2隻と7800台を積める3隻を発注した。いずれもダブル燃料船だ。また、中遠海運特殊運輸などと合弁で自動車サプライチェーン会社を設立した。自動車メーカーの奇瑞集団(チェリー)は2023年、蕪湖造船所と共同で山東省(Shandong)威海市(Weihai)に自動車運搬船の造船拠点を建設した。6000台を積める自動車運搬船や、パナマ運河を通れる最大幅の8万トン級バラ積み船などを手掛けていく。

 自動車メーカーが船主になる現象は、中国の自動車産業が絶えず発展拡大して、国際化が加速していることの表れだ。造船会社は需要に応じるために、船舶の専門化やハイエンド化を進めている。造船業にとっても飛躍のチャンスが到来した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News