【11月29日 東方新報】「香港金融管理局・国際決済銀行(Bank for International Settlements)ハイレベル会議」の歓迎晩餐会が27日夜、香港で開かれた。金融業界の重鎮が多数出席し、世界経済情勢や香港の金融発展、デジタル通貨の見通しなどをテーマに、それぞれスピーチを行った。

 中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)の周小川(Zhou xiaochuan)前総裁は、中国におけるデジタル通貨の発展について講演を行った。周氏は、決済システムのデジタル化と貨幣のデジタル化は表裏一体であるとし、中国本土の小売取引の約90パーセントはすでにデジタル化されており、伝統的な紙幣や取引方法に後戻りすることはないとの見解を示した。

 そして「残る業務の重点は、相互運用性の強化に加え、セキュリティー、暗号化、プライバシー保護の面で、より高い基準とルールを設定することにある」と述べた。

 また周氏は中国のデジタル通貨について、中央銀行を第一層とし、商業銀行、通信事業者、その他の決済ネットワークプラットフォーム企業などを第二層とする「2層の運用システム」にも言及した。

 周氏は「この運用システムは、相互競争を通じてサービスレベルを向上させ、イノベーションを促進するものだ」と述べた。このシステムにおいて、デジタル通貨は中央銀行の集中管理を重視し、決済システムの効率を高め、リテール決済の障壁を取り除くだけでなく、異なる決済の商品間の相互接続を促進することができるという。

 周氏は「デジタル通貨の発展においてセキュリティーは重視すべき重要問題であり、中国本土においてデジタル決済のセキュリティー、プライバシー保護、相互運用性に対する監督を強化する方針だ」と強調した。

 国際決済銀行のアグスティン・カルステンス(Agustín Carstens)総裁はスピーチで、同行が1998年に香港に「アジア事務所」を、また19年には同じく香港に「イノベーション・ハブセンター」を設立したのは、香港がイノベーションとテクノロジーの分野で発展する潜在力に期待しているからだと述べた。

 また彼は「1年ぶりに香港に戻ってみると、環境が大きく変わり、香港が再び活気にあふれ、経済活動も正常に戻り『素晴らしいスタート』だ。これから香港がどのように発展し変化していくのか非常に楽しみだ」と語った。

 香港金融管理局の余偉文(Yu Weiwen)総裁はスピーチの中で「今年はわが局の設立30周年で、香港の国際決済銀行アジア事務所設立の25周年でもある。この二つの機関は、金融システムの弾力性を確保し、中央銀行間の協力と政策対話を促進する上で、ますます重要な役割を果たしている」と述べた。

 また余氏は、「世界経済は技術革新とグローバリゼーションにけん引され、過去30年間に著しい変化を遂げた。その中で中央銀行は長期的な経済成長を維持するための経済・金融の安定の促進という点で非常に重要な役割を果たしてきた」と強調した。(c)東方新報/AFPBB News