【11月27日 CNS】中国の週末では最近、多くの地域でさまざまなマラソン大会が開催されている。

 中国では近年、マラソン産業が急速に発展している。かつては東京、ニューヨーク、北京市といった大都市にのみ関連付けられていたマラソンは、現在では中国の二線都市、さらには県城(県人民政府の所在地)、街道(町内)にまで浸透している。多くの県政府、区政府が主催するマラソン大会も人々の視野に入っている。

 各地でのマラソン大会開催の背景には、経済的な計算がある。

 中国では、マラソン大会の主催者は一般的に地方政府となる。大会運営会社の責任者である易(Yi)さんは、近年、各地でマラソン大会や登山祭りが盛んに開催されているのは、主に観光地でのチェックインや消費の刺激のためだとみている。彼の計算によれば、一回のマラソン参加において、地方からのランナーが交通、宿泊、飲食にかける消費額は、平均で約2000元(約4万1754円)にのぼり、多くの人を引きつけることができるのだという。

 今年3月に江蘇省(Jiangsu)無錫市(Wuxi)で開催された無錫マラソン大会は、関連産業に19億5000万元(約407億円)の利益をもたらした。この大会には3万3000人が参加し、参加者と観戦者の合計人数は22万人に達した。そのうちの大半が23歳から55歳までの主要な消費者層だった。

 直接的な経済効果のほか、マラソン大会を開催することで、地元の露出度と注目度を高めることもできる。現在、多くのマラソン大会では、開始前に博覧会を開催し、各種のランニング用品、文化クリエイティブ・派生商品、消費食品などが次々と登場している。完走後の集合写真の撮影スポットや完走賞の景品には、地元の特色ある産業を反映した記念品が常に登場している。地元の特色のアピールのために、主催者はマラソンのコースを地元で最も美しい場所に設定し、給水所で地元の特産品を提供している。

 マラソン大会がもたらす経済効果と観光宣伝の効果は一目瞭然だ。北京体育大学(Beijing Sport University)の白宇飛(Bai Yufei)教授は、現在、中国のマラソン大会の供給において、量の面では上限に近づきつつあり、今後主催者は、質の向上に努力していくべきだと考えている。

 爆発的発展を遂げた10年を経て、ベテランのランナーの中には、中国の一部のマラソンブランドは、徐々に海外の老舗ブランドに近づいており、コース上の体験感が徐々に改善してきていると感じている人もいる。同時に、どのように地元に適したマラソン大会を開催するか各地も考え始めている。

 しかし、どのような形式とするか、どのような対象を持つマラソン大会とするかにせよ、マラソンブームがもたらす長距離走の熱狂、スポーツブームは確実に中国の多くの地域に広がってきている。(c)CNS/JCM/AFPBB News