【10月21日 Xinhua News】中国科学院国家天文台の徐聡(Xu Cong)研究員率いる国際チームがこのほど、貴州省にある500メートル球面電波望遠鏡(FAST、通称「中国天眼」)を使い、銀河群「ステファンの五つ子」と周辺の水素原子ガスのイメージング観測を行い、銀河系の約20倍の大きさとなる約200万光年の巨大原子ガス構造を発見した。これまで宇宙で観測された最大の原子ガス構造となる。関連成果は19日、英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載された。

 徐氏によると、この発見を可能にしたのは、極めて暗い天体まで観測できる「中国天眼」の超高感度観測能力で、銀河の中心から遠く離れた希薄な分散原子ガスが放つ極めて弱い放射を観測することで、宇宙にある天体の起源研究に新たな道を開いた。

 銀河群「ステファンの五つ子」は1877年に発見されてから、天文学分野で最も注目される銀河群となっている。今回の発見は、銀河群の中心から遠く離れた周辺空間に、巨大な低密度原子ガス構造が存在することを明らかにした。これらのガス構造の形成は「ステファンの五つ子」の形成当初の銀河間の相互作用の歴史と関わりがある可能性が高く、すでに約10億年存在しているとみられる。

 徐氏によると、今回の観測成果は巨大な低密度原子ガス構造が宇宙に多数存在する可能性を示唆している。(c)Xinhua News/AFPBB News