【4月5日 People’s Daily】馬慧娟(Ma Huijuan)さんは中国寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の農民作家で、近年、同自治区の西海固(Xihaigu)地区が貧困から脱出するノンフィクションを出版した。中国全国人民大会(国会に相当)代表になってから、彼女はずっと郷土文化の建設に取り組んできた。「読書と作文は私の人生を変えました。私も読書で村の人々の生活を変えたい」と、彼女は語る。

 馬慧娟さんが住む寧夏フイ族自治区呉忠市(Wuzhong)紅寺堡区(Hongsibao)は、環境破壊から逃れるための移住が集中しており、生態系を回復させる取り組みが長年行われてきた。森林カバー率は初め5%にも満たなかったが現在では39%に達し、開発初期と比べて農民の年収も倍近くに増えた。

「農民たちに必要なのは、物質的な貧困から脱するだけでなく、精神文化的な貧困から脱出することです」と、馬慧娟さんは語る。

 2018年、とある農民の読者が、読書をするのが大好きだが図書館が見つからないと馬慧娟さんにメッセージを送ってきた。馬さんはすぐ郷土文化の建設を研究し、自治体レベルの図書館や文化施設が分布上の問題を抱えており、存在すらしないケースもあるということが分かった。彼女はすぐ政府による農村啓発プロジェクトである「農家書屋」を利用し、「読書クラブ・泥と本の香り」という団体を立ち上げた。寄付を募って各種図書を1万冊近くそろえ、村の人々、特に女性を集め、時間があれば読書をさせて外の世界への理解を促した。彼女は読書クラブの中で学習相互扶助班を設け、字が読める会員が読めない会員に教え、識字率を上げる仕組みをつくった。

「読書クラブが第1期生を迎えた時、メンバーはたったの20人で、うち2人は字が読めませんでした」。数年後、馬さんは「泥と本の香り」を活動の場に定め、村民たちに常設の講義を行った。時に、彼女自身の経験に基づいて「知識が運命を変える」ことを語り、村民が学び、夢を追うことを励ました。また、彼女自身も村民と交流を深める中で、村民たちが精神文化を求めていることを理解していった。

 馬さんの指導の下、ますます多くの村民が文化教育を重要視するようになった。「私たちは名前さえ書けず、店の帳面もつけられませんでした」と、村民の明小蘭(Ming Xiaolan)さんは言う。彼女は姉妹とともに暇さえあれば字の練習や読書をしている。「少し字が読めるようになるとすごくうれしいです。夢がかなったと感じます」。村民の楊芙蓉(Yang Furong)さんは帽子を編み上げる手芸の技術を持つが、販路を開拓する方法が分からずにいた。彼女も毎日読書クラブに来て字の練習をしている。「字がたくさん読めるようになったら、インターネットで帽子を売りたいです」

 今、馬さんが考えているのは、「泥と本の香り」をさらに多くの人々が学び、交流する拠点にすることだ。彼女は今年の全国両会(国会に相当)で、郷土文化の建設について議論し、地域振興戦略をしっかりと進め、村民が物心両面で豊かになるよう希望した。(c)People’s Daily/AFPBB News