【9月2日 CNS】朝の通勤途中に立ち寄ったり、昼ご飯を買ったり、そして帰宅前に買い物をしたり。中国の都市部でもコンビニは不可欠な存在になっているが、まだまだコンビニが市街地にない「コンビニ砂漠」のような都市もある。中国政府は市民の生活を支え、消費を押し上げるため「コンビニ増強3か年計画」を打ち出し、「砂漠」を「オアシス」に変えようとしている。

 人口とコンビニ店舗数を比較すると、中国では1店舗あたりの人口は11438人。米国の2149人、日本の2268人、韓国の1429人と比べ、圧倒的に「コンビニ密度」が低い。鍾山(Zhong Shan)商務部は現状について、「わが国のコンビニは全国で13万店舗しかなく、まだまだ不足している。全体的にレベルが高いとも言えず、市民の生活ニーズに応えられていない」と指摘した。

 
 商務部は7月、「コンビニエンスストアのブランド化とチェーン化への3年間の行動実行に関する通知」を発表。2022年までに全国のコンビニを30万店に増やし、24時間経営の店舗を30%以上にすることを目指している。同時にコンビニの利便性やサービスの品質を高め、各地の店舗を増やしてネットワーク化を図り、3年間で一気に「質と量」を向上させる狙い。どの都市でも市民が徒歩15分以内にコンビニがある「15分便利生活圏」をつくることを掲げている。

 中国では、北部でコンビニが少なく南部で多い「南熱北冷」という状態だ。1店舗当たりの人口を見ると、北京市が8889人、上海市3796人、広州市(Guangzhou)2803人、深セン市(Shenzhen)1731人と、北から南に向かうにつれて明らかに「コンビニ密度」が高くなっている。最も密度が高いのは、工場が集中している広東省(Guangdong)東莞市(Dongguan)で、1店舗当たり1242人。首都北京と7倍の差がある。

「南熱北冷」の理由に、業界では「3つの半分」と言われている。北部は冬が寒いため売り上げが多い期間は「半年」だけ。路上も使って商品を販売する南部に比べ、北部は路上の利用が「半分」だけ。北部は夜間も外出して消費する習慣が少ないため、消費時間が「半日」だけ。これは少し大げさな言い方だが、北京などの北部の都市の現状を端的に表している。

 商務部は「コンビニ増強3か年計画」の中で、コンビニ内にイートインスペース、休憩スペースを設けることを奨励。24時間営業の拡大も呼びかけ、夜間の消費活動を活性化し、利便性を向上しようとしている。

 チェーンストア業界団体の中国連鎖経営協会(CCFA)によると、新型コロナウイルスの影響で2020年のコンビニ業界の景気指数は62.87に落ち込み、この3年間で最も低い水準となった。一方で、高い新規出店ペースを維持しているコンビニチェーンもある。「無人スマートレジ」を導入している「便利蜂(Bianlifeng)」は今年に入り、広東省や山東省(ShanDong)、河南省(Henan)、安徽省(Anhui)などに次々と出店。家電量販大手系列の「蘇寧小店(Suning Xiaodian)」は3年内に1万店を出店する目標を立てている。 各企業が競って中国全土に「コンビニのオアシス」を広めようとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News