【1月9日 CNS】従業員ゼロ、支払いはスキャンだけ、ビッグデータによる消費予測、人工知能による防犯識別――新技術を多く取り入れた「無人小売り」は2017年に登場した。小売業界の新事象としての「無人小売り」のイメージは依然、技術面に留まっており、最近では閉店のニュースが伝わってきている。

 かつて業界人から「無人小売り元年」と呼ばれた2017年。一夜のうちに無人商品棚が多くの街に置かれ、多くの無人スーパーが開業した。しかし長くは続かなかった。

 その年のうちに、上海で初めての無人コンビニだった「Bingo Box」が閉店、2018年2月になると成都市(Chengdu)の無人スーパー「GOGO小超」が経営破綻。昨年4月には広州市(Guangzhou)新河浦路の無人ショップ「愛士多(i-store)」が突然閉店するなど、無人店の倒産が相次いでいる。

 メディアの調査によると、無人店の中にはすでに従来型の普通のスーパーに改修し直したところも少なくなく、著名なネット通販会社傘下の無人店も例外ではない。

 無人小売り店舗の相次ぐ撤退に対し、業界内の専門家は、消費者にとって小売店舗の自動化レベルやショッピングの際に受ける「テクノロジー」の感覚よりもっと大切なことは、総合的な消費体験だと指摘する。現在の無人小売り店舗は普通のコンビニと比べ、違う点は店員が少なくなっただけ、その他の面では大して変わらない。無人販売の核心は「無人」ではなく「利便性」と「商品そのもの」だという。

 専門家は、無人小売りは家賃と人件費の面ではメリットがあるが、総合的な経営コストは逆に高く、自動識別設備や人工知能(AI)、ビッグデータを使う運営システムなど、高額な初期投資が必要で、開業後の維持コストも小さな金額ではないと指摘する。さらに、投資家の撤退は無人小売りに致命的な一撃を加えた。

 完全に無人の小売店舗以外に、伝統的な実体店舗でも、技術を利用した消費体験の向上に乗り出しているところがある。北京の「華潤万家(CR Vanguard)」「デカトロン(Decathlon)」などの店舗では、セルフ支払いが標準となっている。客は商品を買い物かごの中に入れたままで、ディスプレー上に商品明細と価格が瞬時に表示され、QRコードをスキャンするだけで支払いを済ませることができる。

 評論家によると、今日、新しい技術と小売りの融合はもはや変えようがない。技術感のある生活はますます加速していき、いったんは衰退の様相をみせたが、無人スーパーには依然として大きな発展空間が広がっているという。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News