【6月19日 CNS】中国・北京市の新型コロナウイルス感染症との闘いは、非常事態へと突入した。政府の発表によると、北京市は11日から14日午前7時までの間に、新たに発見された感染者は合計51人を数え、その全てが北京市豊台区(Fengtai)にある「新発地農産品卸売市場」と関連があった。

 一方、この非常事態の中で「サーモン」が突然、世論の焦点へと浮上した。12日夜、北京新発地卸売市場の張玉璽(Zhang Yuxi)董事長がメディアの取材を受けた際に「政府が新型コロナのスクリーニング検査を行った結果、輸入サーモンを加工したまな板から新型コロナウイルスが検出された」と語ったことが発端だ。

 これを受け、全国各地のスーパーやレストランでは、夜を徹してサーモンの撤去が始まった。同時に「サーモンはウイルスの宿主になるのか」や「ウイルスを持ったサーモンに伝染性はあるか」「生食したらウイルスに感染するか」などの疑問が不安を募らせ、いかに正しく「サーモン」に向き合うか、が庶民の注目するところとなっている。

 現時点で、サーモンが「新発地卸売市場」の感染源かどうか、結論はまだ出ていない。同市場で採取され陽性と判断された40件のサンプルについて、北京市衛生健康委の高小俊(Gao Xiaojun)報道官は「サーモンのまな板から来ているものもあるが、そうでないものもある」とコメントしている。

 中国疾病対策センターの呉尊友(Wu Zunyou)流行病学首席専門家は「輸入サーモンを加工したまな板から新型コロナウイルスが発見されたからサーモンが感染源だと結論付けるのは間違い。まな板を触ったことのある全ての人と物が感染源である可能性がある」と述べている。「まな板の持ち主が感染者で、話をした時に唾液の飛沫がまな板に付いたかもしれない。サーモンを買いに来た客が価格交渉をする際にまな板に触ったのかもしれない……異なる経路からサンプルを採取し、どの経路の可能性が最も高いか評価をしなければならない」

 専門家の共通した認識は、サーモンが感染源であるかどうかは別として、この非常事態には、サーモンには慎重に対応すべきというものだ。中国疾病対策センターの曾光(Zeng Guang)主席科学者は「サーモンは通常、生で食べる人が多いが、現在はウイルスの伝染源がまだ不明な状況なので、庶民がこの時期にサーモンを生食することはお薦めしない」と否定的だ。(c)CNS/JCM/AFPBB News