【10月30日 東方新報】中国大手火鍋チェーンの海底撈(Haidilao)は25日、日本のパナソニック(Panasonic)との新会社設立を発表した。一般大衆と広く密着したサービスをモットーにする海底撈にとっては、テクノロジー分野への大きな挑戦となる。

 四川海底撈餐飲(HaiDiLao HotPot)とパナソニック傘下のコネクティッドソリューションズ(Connected Solutions)は東京で共同記者会見を行い、海底撈の創始者、張勇(Zhang Yong)董事長、コネクティッド社の樋口泰行(Yasuyuki Higuchi)社長らが出席。パナソニックの技術を用いた海底撈初のスマート火鍋店を28日に北京市で開店するほか、合弁会社がシンガポールと北京市に登記されたことを発表した。

 合弁会社の山下純総経理は、「パナソニックのロボティクス技術や画像認識を掛け合わせた『自動おかず倉庫』は、顧客がオーダー端末に入力した注文に合わせて、ロボットがおかずの皿を組み合わせてトレーに載せる。皿には半導体チップ(RFID)が付いており、材料の盛り付け時刻などをチェックした上で配膳する」と紹介。「おかず倉庫」によって、厨房の人員削減や配膳の自動化による人為的ミスの排除や衛生面などのメリットもあわせて紹介している。

 張董事長は、パナソニックの創業者である松下幸之助(Kounosuke Matsushita)の経営理念を個人的に高く評価しており、海底撈の一部運営にも幸之助氏の手法を取り入れていることを明らかにした。しかし飲食業界は非常に効率の悪い業界であり、テクノロジーによる改革の必要性を感じていたという。張董事長は、「パナソニックとの協力によって、新技術を用いた飲食業界のコスト構造を変えることができると信じるだけの理由は十分にある」と話した。

 コネクティッド社の樋口社長は、「パナソニックは長い間、電器製造の業界に関わってきたが、業界の競争は激しく市場は絶えず変化を続けている。そうした中で、自社技術を生かした新しい発展の道を探し続けていた。製造業が飲食業界と一体化し、飲食業の自動化によって人件費削減や効率アップを実現できれば、将来的には海底撈だけでなく、中国飲食業全体にこのようなモデルが広まっていくだろう」と話した。(c)東方新報/AFPBB News