【3月6日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督が、ロシア国営の国際テレビネットワークRTと契約を交わし、W杯ロシア大会(2018 World Cup)の解説者を務めることが明らかになった。米国では「外国エージェント(手先)」に指定されている同局が5日、具体的な報酬額については伏せたまま公表した。

 モウリーニョ監督の出演で外国人を対象にしたロシアの国際ニュース番組の視聴率上昇を目指しているRTは、W杯の放映権は保持していないものの、同大会の「テキストによる生解説」とリポートを提供するという。

 RTが作成した気取った雰囲気の動画で指導者に扮(ふん)したモウリーニョ監督は、あっけに取られたような顔の局員にW杯の報道の仕方を指南し、「君たち、緊張しているのは分かっているよ。これは世界的な大会であり、とてつもない重圧がかかっている。世界に向けて史上最高の試合を中継しよう」と話しかけていた。また、同局の声明の中で、「RTのチームに加われて、とてもうれしい」とコメントし、今年6月14日から5週間にわたって開催されるW杯の展望を披露した。

 大統領府(クレムリン、Kremlin)を後ろ盾として2005年に発足し、当時はロシア・トゥデー(Russia Today)と呼ばれていたRTは、モウリーニョ監督との契約で視聴率の上昇を目指している。同局は現在、2016年の米大統領選に介入したとして物議を醸しているロシア疑惑をめぐる渦中に置かれ、米国の多くの放送会社が撤退する事態に直面している。

「ロシアによる国家ぐるみのプロパガンダ放送局」として、昨年11月に米司法省から「外国エージェント」として登録されることを余儀なくされたRTは、疑惑について否定する中で、英語以外にも数々の外国語サービスを行っており、特にユーチューブ(YouTube)を中心に放送を展開。欧州でもネットワーク拡大を目指しており、昨年12月にはフランス・パリを拠点に同国語のチャンネルを発足している。

 同局ではこれまでにも元プレミアリーグ選手の番組司会者として、元ユナイテッドのGKピーター・シュマイケル(Peter Schmeichel)氏と元リバプール(Liverpool FC)のストライカー、スタン・コリーモア(Stan Collymore)氏の2人が出演を果たしている。(c)AFP/Dmitry ZAKS