【2月6日 AFP】2015年にフランスの首都パリで起きた同時襲撃事件で、唯一生存している実行犯とされるサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)被告(28)が5日、ベルギーの首都ブリュッセルの裁判所で開かれた公判に初出廷した。被告は法廷で「私はアラー(神)を信じる」などと発言したほか、イスラム教徒が偏見に基づいて裁かれていると非難した。

 ベルギー生まれのモロッコ系フランス人である同被告は、パリでの事件後にブリュッセルで起こした銃撃事件の裁判に出廷するため、パリ近郊の勾留施設から警察の護衛下でブリュッセルに移送された。

 出廷したアブデスラム被告は、傲然(ごうぜん)とした態度を示し、判事の前で起立することや、2016年の逮捕につながったブリュッセルでの警察との銃撃戦に関する質問に答えることを拒否した。

 2年に及ぶ勾留中に髪とひげを長く伸ばした同被告は、ブリュッセルの裁判所で判事に対し、「私が沈黙しているからといって犯罪者にはならない」「イスラム教徒は無慈悲にも、最悪な形で裁きと処遇を受けている。無罪が推定されていない」などと発言した。

 同被告は2016年3月15日に発生した銃撃戦の3日後にブリュッセルで逮捕されて以来、捜査員らに対し黙秘を続けている。今回自発的に出廷に応じたため、パリ襲撃事件に関し沈黙を破ることが期待されていたが、この日も引き続き協力を拒否した上、自身の姿が写真や映像に収められることも拒否した。

 黒い目出し帽をかぶったベルギーの警察官2人に常時警備されていた被告は、「私はあなたが怖くはない。あなたの仲間も怖くはない」「私はアラーを信じる。それだけだ」と述べた。

 検察側はアブデスラム被告と、同時に逮捕されたチュニジア人のソフィアン・アヤリ(Sofiane Ayari)被告(24)に禁錮20年を求刑。両被告はいずれも殺人未遂に加え、禁止武器に関連する罪に問われている。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL and Alex PIGMAN