「ISOLATION」や「CONTROL」の文字が逆さまにプリントされたキャップと、1970年代風の大ぶりな眼鏡が顔を見えにくくし、男性なのか女性なのか見分けがつかないモデルもいたが、まさにそれが狙いだった。「特に日本の男性は柔軟な人が多く、レディースのブランドも着るし、レディースもメンズのブランドを着る人がすごく多い。もしかすると世界と比べても特殊なくらいに、日本のこういったカルチャーはジェンダーレスだと思う」

 日本人デザイナーの大半が海外市場への進出に意欲を見せる中、ユニセックスファッションの分野は今が最大の好機だ。

 同性愛者の擁護団体「GLAAD」の調査によれば、米国のミレニアル世代の中で、シスジェンダー(自分の性別に違和感を持たない人)でストレート(異性愛者)ではないと自認している人の割合は20%に上っている。ベビーブーム世代ではわずか7%だ。

 米国ではバラク・オバマ(Barack Obama)前政権が全米の公立学校に対し、トランスジェンダー(自分の性別に違和感を持つ人)の生徒・学生が自分の性認識に基づいたトイレの使用ができるよう指針を示した。しかしドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がこれを撤回したため大きな非難を呼び、この問題は再び政治的な注目を浴びている。

 男性から女性に生まれ変わった元米五輪金メダリストでタレントのケイトリン・ジェンナー(Caitlyn Jenner)は、トランスジェンダーとして広く知られている。米女優クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)と英モデルのカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)は今や、バイセクシャル(両性愛者)のイメージキャラクター的な存在だ。

 米ポップスターのマイリー・サイラス(Miley Cyrus)は先日、「タイム(Time)」誌の特集で若者がジェンダーの意味について再定義していることについて、「今はもうそれについて語っても受け入れられる時代。カミングアウトしても受け入れられる。以前はとても怖かった」と語った。