【12月30日 AFP】2016年のスポーツ界をにぎわせた「英雄」と「転落者」として、AFPが選んだチームや人物を紹介する。

「英雄たち」

■レスター・シティ

 クラウディオ・ラニエリ(Claudio Ranieri)監督が率いるイングランド・プレミアリーグのレスター・シティ(Leicester City)は、優勝オッズ5000倍の下馬評を覆して2015-16シーズンのトロフィーを獲得し、英サッカー界に史上最大の衝撃を与えた。

 前シーズンに奇跡的に降格を免れたフォクシーズ(Foxes、レスターの愛称)は、その勢いに乗ったまま、おとぎ話の大団円に向かって前進。弱小チームから王者に大出世を遂げた原動力となったのは、ノンリーグ時代を経て頭角を現し、イングランド代表の同僚でリーグ得点王になったハリー・ケイン(Harry Kane)に次ぐ24得点を記録したジェイミー・バーディー(Jamie Vardy)の存在だった。さらに、リヤド・マフレズ(Riyad Mahrez)がイングランド・プロサッカー選手協会(PFA)の年間最優秀選手に選ばれたほか、ヌゴロ・カンテ(N'Golo Kante)と主将ウェス・モーガン(Wes Morgan)も2016年の年間ベストイレブンに選出された。

■エデル

 西アフリカのギニアビサウ出身のエデル(Eder)は、サッカーポルトガル代表として出場した欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)決勝のフランス戦で、延長戦に決勝ゴールを決めて母国に初の主要タイトルをもたらし、脇役からヒーローに上り詰めた。

 それまでの代表28試合では3得点にとどまり、そのすべてが親善試合で記録したものだったエデルは、同大会では決勝を前に合計13分間しか出場しておらず、スタッド・ド・フランス(Stade de France)で英雄になる期待はほとんど持たれていなかった。しかし、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)が序盤で退場しプランの再考を余儀なくされると、28歳のエデルは後半途中からピッチへ。すると、仏代表のGKウーゴ・ロリス(Hugo Lloris)を破る豪快な約27メートル弾をネットに突き刺し、ポルトガルにアンリ・ドロネー杯(Henri Delaunay trophy)をもたらした。

 ポルトガル代表のフェルナンド・サントス(Fernando Santos)監督は、「みにくいアヒルの子が出てきて得点した。今や彼は美しい白鳥となった」と冗談交じりに語った。