■ライアン・ロクテ

 競泳米国代表のライアン・ロクテ(Ryan Lochte)は、リオ五輪の男子4×200メートル自由形リレーで金メダルを獲得し、また一つ栄冠を手にしたものの、不名誉な「強盗」スキャンダルによって、その快挙は即座にささいな出来事と化してしまった。

 ロクテは当初、チームメート3人と外出先から戻る途中で、警官を装った強盗に金品を奪われたと訴えていた。しかし警察は即座に、4人がガソリンスタンドで破壊行為に及んでいた防犯カメラの映像とともに、その話が虚偽であると非難した。この問題で、ジョセフ・ベンツ(Gunnar Bentz)、ジミー・ファーゲン(James Feigen)、ジャック・コンガー(Jack Conger)の3人が、4か月の出場停止処分を科されたのに対し、ロクテは10か月の出場停止処分を言い渡され、国際的水着メーカーのスピード(Speedo)社からもスポンサー契約を解除された。

 32歳のロクテはまた、強盗被害を捏造(ねつぞう)した罪で訴追されており、最大で禁錮6か月の刑を受ける可能性がある。

■タイソン・フューリー

 自称「ジプシーキング」のタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)は、2015年11月にウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)が長年君臨してきたWBA・WBO世界ヘビー級王座を奪取して世界のトップに立ったものの、その名声は一年間でぼろぼろになった。

 フューリーは深刻なそううつ病の治療としてコカインを摂取し、薬物検査で陽性反応を示すと、予定されていたクリチコとの再戦も2度にわたりキャンセル。さらには、ツイッター(Twitter)では汚い言葉を使いながら、現役引退を示唆した直後にそれを撤回する騒ぎを起こし、荒れ狂ったような12か月間の最後にライセンス停止処分を受けた。その横柄な人格とは裏腹に、内面のもろさを露呈したフューリーが、競技に復帰するのは遠い先になるとみられる。