【9月9日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)は8日、女子シングルス準決勝が行われ、大会第1シードのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)が第10シードのカロリーナ・プリスコバ(Karolina Pliskova、チェコ)に2-6、6-7(5-7)で敗れる波乱が起きた。この結果、セレーナの通算23回目の四大大会(グランドスラム)優勝と世界ランキング1位187週連続在位の記録達成はならなかった。

 今大会まで17度のグランドスラム挑戦で3回戦以上に進出したことがなかったプリスコバは、「信じられない。自分の試合ができれば誰にでも勝つチャンスはあるとわかっていたけど。セレーナのような偉大なチャンピオンに勝って決勝に進むことができて興奮している」と喜びを明かす。

「セレーナは1セットダウンとなった第2セットでブレークを許したあとでも、諦めていなかった。私は勝つために一生懸命戦った」

 一方、大会序盤から左膝の痛みに悩まされたことも影響したというセレーナだが、プリスコバは勝利に値したと称賛する。

 シュティフィ・グラフ(Steffi Graf、ドイツ)氏と並んだオープン化以降のグランドスラム歴代最多優勝回数更新にあと1勝と迫っていたセレーナは、「カロリーナは素晴らしいプレーだった。あそこまで良くなければ、私にもチャンスがあったと思う。私は100パーセントの状態ではなかったと思うけれど、彼女が良いプレーをしたとも思う。彼女は勝利に値する」と白星を挙げたプリスコバをたたえた。

 ヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)と対戦した4回戦ではマッチポイントを凌いで勝利したプリスコバだったが、この試合の第2セットのタイブレークでは、3-0と先行したものの、ダブルフォールトを犯すなど3ポイントを連続で落とし、緊張がうかがえた。一方のセレーナもその後5-4とリードしたが、波に乗ることができず、最後はこの日6本目のダブルフォールトを犯してゲームセットとなった。

 女子テニス界では長年セレーナのサーブが最も強力だとされてきたが、現在世界11位のプリスコバも今季はこの試合の直前までにツアー最多の439本のエースを記録していた。

 サービスゲームをキープすることが重要となるハードヒッター同士の対戦となったこの試合、第1セットはプリスコバが先にブレークを奪い2-1とリード。すると、サービスゲームとなった第7ゲームでセレーナはダブルフォールトに続いて3本のエラーを犯し、プリスコバが5-2とリードを広げた。結局このセットは、セレーナに1度もブレークポイントを与えなかったプリスコバが26分で奪った。

 第2セットに入っても、序盤からセレーナにプレッシャーがかかる場面が続いた。自身のサービスゲームとなった第1ゲームではブレークポイントを凌いでキープに成功したが、第3ゲームの最初のポイントで勢いよく入ったように見えたサーブが、レットのジャッジ。判定に納得のいかなかったセレーナは審判と口論になったが、結局このゲームもキープした。

 セレーナのピンチは続き、第5ゲームではフォアハンドがネットして先にプリスコバにブレークを与える展開。すると、直後のサービスゲームでプリスコバがダブルフォールトや3本のアンフォーストエラーでセレーナにブレークバックを許した。

 ダブルフォールトが増えた理由についてプリスコバは、「第2セットでセレーナが私のセカンドサーブをたたいてきていたからリスクを取らなくてはならなかった」としたうえで、「サーブがカギだった」と語る。

 そこからはお互いキープが続き、決着はタイブレークへともつれた。

 10日に行われる決勝戦のことは考えなかったというプリスコバは試合後、「今日の目標はセレーナを倒すことだった。決勝で誰と対戦するかは気にしない」と話した。

 この試合が自身初めてのグランドスラム準決勝の舞台となったプリスコバは、10日の決勝で同日行われたもう一方の準決勝でカロリーネ・ボズニアツキ(Caroline Wozniacki、デンマーク)を下した第2シードのアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)と対戦する。(c)AFP