【9月6日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)の舞台で、これまで積み上げてきた記録を更新し、四大大会(グランドスラム)通算23度目の優勝を目指して突き進むセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)は、自分がプレーをやめる姿を今は想像できないとしている。1999年の全米でグランドスラム初制覇を果たしたセレーナは当時、34歳まで現役を続けていることは予想していなかった。

 これまでも、けがや病気、テニスに対するマンネリなど、輝かしいキャリアにはいくつかの中断や妨げがあった。しかし、それでも前進しようとする決断は、それまで視界になかった記録を塗り替えさせ、その一つ一つが目覚ましいほど圧倒的な彼女のキャリアを続ける原動力となっている。

「現時点では、いつプレーを止めるのか本当に見当がつかない」と話すセレーナは、「あらゆる瞬間を楽しめているし、その存在すら知らなかったような記録や、遠い存在だと思っていた記録まで破るようになった」と語った。

 5日に行われた女子シングルス4回戦で、ヤロスラーヴァ・シュウェドワ(Yaroslava Shvedova、カザフスタン)を6-2、6-3のストレートで退けた大会第1シードのセレーナは、この勝利で四大大会通算308勝目を記録し、男女を通じてオープン化以降の歴代最多勝利記録保持者となった。

 男子テニスを代表する名選手ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)の通算307勝を上回ったセレーナは、それを「とても重要なこと」と話している。「私のテニス人生の長さを物語るようなものだと思う。長い年数をかけてプレーしてきたというだけでなく、長期間にわたって安定した強さを示すことができていることを意味しているの」

 今年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)で優勝し、シュティフィ・グラフ(Steffi Graf)氏の持つオープン化以降のグランドスラム歴代最多優勝回数22回に並んだセレーナは現在、グラフ氏の記録を更新し、マーガレット・コート(Margaret Court)氏が持つ歴代最多24回に近づくことを目指している。

 今大会で自身7度目となる全米オープンのタイトルを獲得すれば、セレーナのグランドスラム通算優勝回数は23まで伸び、現在クリス・エバート(Chris Evert)氏と並んでいる大会最多優勝記録も更新することになる。

 今後もさらなる記録更新が期待されるセレーナだが、今季は全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2016)と全仏オープンテニス(French Open 2016)の決勝で敗れ、ウィンブルドン後は肩の故障に悩まされてきた。

 現在は世界ランキング1位の在位期間が歴代最長の186週に並び、記録更新へ残り1週となっているが、結果によっては今大会終了後、今年1月の全豪決勝で敗れたアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)にその座を奪われる可能性もある。

 すでにケルバーが準々決勝に勝ち進んだことで、セレーナが現在の記録を更新するためには、今大会の決勝まで勝ち残らなければならない。そしてケルバーも決勝に進出した場合は、直接対決を制して優勝することが世界ランキング1位にとどまる絶対条件となる。

 今大会のセレーナは、ランキングに関する質問を拒否しているが、今月26日に迎える35歳の誕生日を前に、過去の偉大な選手たちへの困難な挑戦に臨むことを明言している。

「自分のすることを本当に楽しめているときは、何かが違うんだと思う」

(c)AFP/Rebecca BRYAN