【7月22日 AFP】男子陸上短距離界の王者、ウサイン・ボルト(Usain Bolt)が21日、ロシア側の申し立てを却下したスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定に言及し、ドーピングを許さないという強い警告になると話した。

 国家ぐるみのドーピングを行っていたとして、国際陸上競技連盟(IAAF)から出場資格を停止されているロシアは、陸上選手がCASに異議申し立てを行っていたが、21日にこの訴えを退ける裁定が下された。

 これを受けて、国際オリンピック委員会(IOC)は今週末にも、ロシア人選手のリオデジャネイロ五輪出場を全面的に禁止する可能性がある。しかし、五輪で六つの金メダルを獲得しているボルトは、強い姿勢を見せることこそが陸上界の浄化に向けた正しい道だと信じている。

 英ロンドン(London)で報道陣の質問に答えたボルトは、「多くの人間を震え上がらせる決定だ。それに、陸上競技が浄化に真剣に取り組んでいるという強いメッセージにもなる」と話した。

「悲しいが、決まりは決まりだ。僕はルールを作る立場にも、判断する立場にもない。ただ決定に従うだけだ。全面禁止が正しいとみなさんが感じているのなら、僕も大賛成だ」

 ボルトはこの後、ダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League 2016)のロンドン大会(The Muller Anniversary Games)で、今季初めてとなる200メートルに出場を予定している。

 ボルトにとっては、太ももの張りでジャマイカの国内選手権を棄権して以来の公式戦。リオ五輪に向けて、回復の度合いを確かめる重要なレースとなるが、本人は調整の順調ぶりを強調している。

「いいよ。調子はいい。いいトレーニングができているし、今いる段階には満足している。太ももの状態もいい。現時点で不安はない。体調の良さを自分で感じている」

 試合会場のオリンピックスタジアム(Olympic Stadium)は、ボルトが2012年のロンドン五輪で100メートル、200メートル、4×100メートルリレーの3冠を達成した場所でもある。ボルトにとっては、これが五輪前最後のレースとなる。(c)AFP