【4月4日 AFP】運動能力向上薬を処方していた医師が、イングランド・プレミアリーグの選手にも処置を行っていたとする報道を受け、首位レスター・シティ(Leicester City)ら同リーグのチームは3日、これを真っ向から否定した。

 英紙サンデータイムズ(Sunday Times)は、ロンドン(London)を拠点としていたマーク・ボナー(Mark Bonar)医師が、隠し撮りされた会話の中で、造血剤のエリスロポエチン(EPO)や、ヒト成長ホルモン(HGH)、ステロイド(steroid)などの禁止薬物をプロのスポーツ選手に処方したと明かしたことを報じた。そこには、ツール・ド・フランス(Tour de France)への出場経験がある自転車選手や、プロボクサー、テニス選手に加え、レスターや、チェルシー(Chelsea)、アーセナル(Arsenal)など、プレミアリーグでプレーする選手の名前も出てきたという。しかし同紙は、実際に処置が行われたことを裏付ける調査は行っていないと補足している。

 ボナー医師については、英国で有効な医師免許を持っていなかったことが分かり、先週のうちに医院を閉鎖している。

 3日の試合後、レスターのクラウディオ・ラニエリ(Claudio Ranieri)監督に対して、ドーピング疑惑についての質問が飛び交ったが、同監督が答える前にクラブの広報担当者が間に入り、レスターは声明を出した通り、報道に辟易(へきえき)しているとコメントした。

「レスター・シティFCは、サンデータイムズ紙が根拠のない記事を掲載し、レスター・シティの名前を出し、裏付け調査はしていないと認めていることを受け、非常に失望しています」

 チェルシーとアーセナルも、同様に不快感を示すコメントを発表し、ボナー医師との関与を否定した。

 ここ1年間、陸上界などを揺るがしたドーピング報道で、中心的な役割を担ってきたサンデータイムズ紙は、アンチエイジングを専門とするボナー医師を内偵した結果、「秘密の患者」ネットワークがあることを突き止めたと報じた。

 英国のジョン・ウィッティングデール(John Whittingdale)文化・メディア・スポーツ相は、2年前にも同様の疑惑が持ち上がっていたにもかかわらず、同国反ドーピング機関(UKAD)が何の対応もしなかったことを責め立て、すぐさま調査を行うよう命じたと明かしている。(c)AFP