■夢がかなったゲッツェ

 そして迎えた7月13日の決勝では、世界中で多くの視聴者がチャンネルを合わせる中、メッシはディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏に肩を並べるべくW杯戴冠に照準を定めた。対するドイツも、アメリカ大陸で行われたW杯で欧州勢として初優勝を飾り、歴史に名を残すべく戦った。

 前線から最後尾まで、ドイツには質の高い選手がまんべんなくそろっていた。ゴールマウスには守護神マヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)が鍵をかけ、その前ではマッツ・フンメルス(Mats Hummels)が強固なDFラインを柔軟に統率。中盤ではバスティアン・シュバインシュタイガー(Bastian Schweinsteiger)とサミ・ケディラ(Sami Khedira)が難攻不落の壁を築き、その助けを得て、トニ・クロース(Toni Kroos)やメスト・エジル(Mesut Ozil)は自由を謳歌(おうか)した。

 前線では、5得点を挙げたトーマス・ミュラー(Thomas Mueller)の決定力が相手に脅威を与えると、36歳のミロスラフ・クローゼ(Miroslav Klose)はこの大会で2得点を決め、通算16点でW杯の歴代最多得点選手になった。

 そして決勝では、両チーム無得点で迎えた後半43分にクローゼに代わって入ったマリオ・ゲッツェ(Mario Goetze)が試合を決める。

 PK戦突入も見え始めた延長後半8分、童顔の22歳は胸トラップからのボレーシュートを決めた。最後は、W杯で過去最多タイに並ぶ大会171得点目が試合の決勝点となった。

 この試合の後、「スーパーマリオ」と呼ばれることもあるゲッツェは、「まさかブラジルでW杯を制することができるなんて夢みたいだ」と話している。