【9月7日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2014)男子シングルスで歴史的な決勝進出を果たした錦織圭(Kei Nishikori)が、つま先の手術のため出場すら危ぶまれる状況から、決勝までたどり着いた心境を語った。

 24歳の錦織は、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を6-4、1-6、7-6、6-3で破り、アジアの男子選手として初めて四大大会(グランドスラム)の決勝に進出した。

 しかし錦織は、前哨戦のロジャーズ・カップ2014(Rogers Cup 2014)とウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2014)では欠場を余儀なくされ、フラッシング・メドウズ(Flushing Meadows)でプレーできるのか分からない状況だったと話した。

 グランドスラムで7度の優勝を誇り、今年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2014)を制したジョコビッチから通算2勝目を挙げた錦織は、「プレーを再開できたのは、大会が始まるほんの数日前でした。ニューヨーク(New York)へ来るべきかどうかも分からなかった。実は、なんの欲もなかったんです」とコメントした。

「だけど1回戦と2回戦を終えて、足も気にならなくなっていったし、痛みも出ませんでした。最初の方はもう少し足が滑っていたけど、自分のテニスはできていました。一試合一試合という気持ちでやった結果、今ここにいる。もしかしたら、グランドスラムの前に3週間休んだのが良かったのかもしれません」

 自身初のグランドスラム決勝までの道のりは、過酷なものだった。4回戦のミロス・ラオニッチ(Milos Raonic、カナダ)戦、準々決勝の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2014)王者スタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)戦は、ともにフルセットとなり、合計8時間半の戦いとなった。

 錦織も、これまではそうした試練を乗り越えられず、肘や腰、股関節など、キャリアのさまざまな段階で負傷に悩まされ、スタミナとコンディションがしばしば問題になってきたことを認めている。

 ジョコビッチと同様、この日40度近い気温に苦しんだ錦織は、「何年か前だったら厳しかったでしょうが、2日休めて助かりました。4時間の5セットマッチを2つこなすのは簡単じゃありませんでしたから」とコメントした。

「今日の試合は僕にとってもきつかった。特に第3セットと第4セットは、すべてのゲームに力を入れるのはなかなか難しかった。最後のゲームは、自分をもう一回奮い立たせて、集中し直しました。その部分は、ここ何年かと比べるとうまくやれています。体を休めて、月曜の決勝までには良い状態へ持っていきたいです」

 錦織は同時に、マイケル・チャン(Michael Chang)コーチの影響の大きさも口にしている。錦織は今季から、長年のコーチであるダンテ・ボッティーニ(Dante Bottini)氏に加えて、1989年の全仏オープン(French Open)王者であるチャン氏の指導も仰いでいる。

「本当に力になってます。昨年の終わりから、大いに助けてもらっています。自分のテニスが前よりも攻撃的になったのを感じるし、自信を深めてプレーしています。コーチは厳しいですが、時には必要なことです。僕には尻をたたいてくれる人間が必要なんですよ」

(c)AFP/Dave JAMES