【8月13日 AFP】シーズン前の親善試合を6戦6勝の完璧な成績で終えたマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)だが、ルイス・ファン・ハール(Louis van Gaal)新監督は、チームの状態を好転させるにはまだまだ時間がかかると感じている。

 ユナイテッドは12日、シーズン前最後の親善試合となったバレンシア(Valencia CF)戦に2-1で勝利し、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)でオランダ代表を3位に導いた後、チーム引き継いだファン・ハール監督は「赤い悪魔(Red Devils、マンチェスター・ユナイテッドの愛称)」の指揮官としての本拠地オールド・トラフォード(Old Trafford)での初陣を勝利で飾った。

 ユナイテッドは、16日のプレミアリーグ開幕戦でスウォンジー・シティ(Swansea City)と対戦する。しかし、負傷のためバレンシア戦を回避したジョニー・エヴァンズ(Jonny Evans)、ルーク・ショー(Luke Shaw)、ルイス・アントニオ・バレンシア(Luis Antonio Valencia)の3選手が開幕に間に合うかは、ファン・ハール監督にもはっきり分かっていない。

 3人が使えないなか、監督がバレンシア戦でCBにフィル・ジョーンズ(Phil Jones)とクリス・スモーリング(Chris Smalling)、タイラー・ブラケット(Tyler Blackett)、ウィングバックにアシュリー・ヤング(Ashley Young)とリース・ジェームズ(Reece James)を起用したため、ベンチ入りしたDFはマイケル・キーン(Michael Keane)ただ1人だった。

 ここまで、オフに左サイドバックのルーク・ショー、中盤のアンデル・エレーラ(Ander Herrera)を獲得したのみのユナイテッドは、スポルティング・リスボン(Sporting Lisbon)に所属する24歳のアルゼンチン人CB、マルコス・ロホ(Marcos Rojo)に1600万ポンド(約27億5000万円)のオファーを出していると広く報じられている。

 交代出場のマルアン・フェライニ(Marouane Fellaini)が後半ロスタイムに決勝ゴールを挙げ、辛くも勝利したバレンシア戦について、ファン・ハール監督は、チームは自分のやり方をつかんでいる段階であり、内容は最低だったと認めた。

 そのため監督は、新政権に早くから過剰な期待をしないでほしいとファンに求めている。今季、巻き返しを狙うユナイテッドは、前シーズンはプレミアリーグ7位という、クラブからすれば物足りない順位に終わり、引退したアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)元監督が後任として直々に指名したデビッド・モイーズ(David Moyes)前監督も、1シーズンもたずに解任された。

 ファン・ハール監督は「われわれは成長を待たなくてはならないし、チームには時間が必要だが、ここまでは全試合に勝利している。対戦相手を考えれば、これは素晴らしい。大きな自信を持ってスウォンジー戦に臨める」とコメントした。

 一方で「チームには今、負傷者が多くいて、それは忘れるわけにはいかないと思う」とも話した。

「ジョニー・エヴァンズが負傷して、ショーが負傷し、バレンシアがけがをした。全員がDFだ。彼らが土曜(16日)にプレーできるかは待たないとわからないが、大事なのは、最悪の試合をしたにもかかわらず勝ったことだ」

 指揮官は、この先はもっと良いプレーをするチームを見たいと考えており、「選手たちは、米国で見せたような力を今日も出したいと意気込みすぎていて、その点もまずかった」と話した。

「今日は間違った選択をし、間違ったパスを送ることが多く、プレスもあまりかからなかった。そうはいってもバレンシアはとても良いチームだし、ボールを持ってもまったく慌てないから、プレスをかけるのは簡単ではない」

「それでもうちは試合を支配し、それができなかったのは後半の15分間だけだったはずだ。最終的に勝者になれたのは、最後の1分まで戦ったからで、これは良い兆候だと信じている」

(c)AFP/Graham Chase