【6月11日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は10日、12日にアレーナ・デ・サンパウロ(Arena de Sao Paulo)で行われるW杯ブラジル大会(2014 World Cup)開幕戦のブラジル対クロアチアを、日本の西村雄一(Yuichi Nishimura)主審が担当することに決まったと発表した。

 ブラジルにとっては、西村主審が裁いた試合で終わりを迎えた南アフリカ大会(2010 World Cup)の記憶を、嫌な形で呼び起こすきっかけになるかもしれない。ポート・エリザベス(Port Elizabeth)で行われた南アフリカ大会準々決勝では、西村主審が笛を吹き、ブラジルが1-2でオランダに敗れている。

 27歳のラミレス(Ramires Santos do Nascimento)は、前回大会を経験している数少ない代表メンバーの1人だが、オランダ戦には累積警告のため出場できず、ピッチの外からチームの敗戦を見ているしかなかった。

 現在はチェルシー(Chelsea)の主力として活躍するラミレスは、この日テレゾポリス(Teresopolis)で記者会見に臨み、「初めてW杯に出場した当時、僕はチーム最年少で、周りにはもっと経験豊富な選手がたくさんいた」と語った。

「すべてが夢のようだった。だけど、僕は(ベスト16のチリ戦で)2枚目のイエローカードをもらって、オランダ戦に出場することができなくなった」

 ロビーニョ(Robinho)の得点で1-0と先制して終えた前半について、ラミレスは「前半はすごく良いプレーをしていた」と振り返る。

 しかし、ブラジルはオランダのウェズレイ・スナイデル(Wesley Sneijder)に2得点を許して試合をひっくり返されると、その後フェリペ・メロ(Felipe Melo)が退場処分を受け、6度目のW杯制覇の夢が断たれた。

 クロアチア戦で西村主審の姿を目にしたブラジル国民は、苦い記憶を呼び覚まされるかもしれない。世紀のキックオフに向けて盛り上がりが増す中、ラミレスは同胞に向けてシンプルなメッセージを送っている。

「90分の中であらゆることが起こり得る。審判だってミスをする時があるし、結局、何があってもベストを尽くしてそれを乗り越えられるかは、僕たち次第なんだ」

(c)AFP/Andy SCOTT