ではなぜ、数十年前の探査機をわざわざ再起動させるのか?――この疑問に対する答えは、「われわれには、それが可能だからさ。格好良いじゃないか」だった。

 それに加えて「ISEE-3は独自の科学的機能を多数搭載している。本当に有用なデータを提供できる」とカウイング氏は述べた。

 もちろん、任務の遂行という点では、最新の探査機の方がおそらく上をいくだろう。だが米プリンストン大学(Princeton University)のジェレミー・カスディン(Jeremy Kasdin)教授(機械・航空宇宙工学)は、NASAは異なる優先事項に取り組んでいるため「あっさりと方向転換して、はるかに高性能の探査機を建造しようという風にはいかない」と説明する。

 NASA自体にも、昔のプロジェクトをすべて運用可能な状態にしておく金銭的余裕がないのだという。

 また、機器類がもはや有効に機能しないとしても、今回の試みによって「内太陽系の放射線環境を飛び回って」30年あまり経過した宇宙探査機に何が起きているかについての有用な情報が得られるかもしれない、とカスディン教授は指摘している。(c)AFP/Naomi Seck