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ますます深刻化、宇宙ごみ問題

2011年6月29日 18:45 発信地:パリ/フランス

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ますます深刻化、宇宙ごみ問題
欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA) が発表した、地球の周囲を回る宇宙ゴミのコンピューター・グラフィックス(CG)画像(2008年4月15日撮影)。(c)AFP/ESA
【6月29日 AFP】28日、国際宇宙ステーション(ISS)から250メートルの距離まで宇宙ごみが接近し、ISSに滞在中の宇宙飛行士たちが一時、連結されているソユーズ(Soyuz)宇宙船へ避難した。

 宇宙ごみ(スペースデブリ)の問題は近年、深刻さを増している。人類の宇宙探査開始から54年が経ち、その間に約4600回行われた衛星や宇宙船などの打ち上げの結果、地球の周りの軌道上には金属やプラスチック、ガラスなどのかけらが浮遊している。

 宇宙ごみが人工衛星などに衝突するリスク自体は低い。しかし、宇宙ごみは極めて高速で移動しているため、たとえ破片ほどのごみでも、衝突すれば、巨額の費用がかかっている衛星を台無しにするには十分だ。

■10センチ以上のものだけで1万6000個

 米航空宇宙局(NASA)のニュースレターによると、米宇宙監視ネットワーク(US Space Surveillance Network)が捕捉している10センチ以上の浮遊物体は約1万6000個、1~10センチのものは約50万個あり、1センチに満たない微小のかけらまで入れると「おそらく数千万個は下らない」という。

 宇宙ごみの源は主に古い衛星や、軌道を周回しているうちに残った燃料などによって爆発した上段ロケットなどで、破片は浮遊しながらぶつかったり砕けたりしてさらに細かくなり、その数は増えていく。

 中国が2007年に老朽化した気象衛星「風雲1号C(Feng Yun 1C)」を使って行った衛星攻撃兵器の実験も、宇宙ごみの増加に拍車をかけた。この実験をきっかけに宇宙ごみは30%以上増えたとされ、宇宙ごみの専門家や衛星事業者は激怒した。
 
 2009年5月にはこの風雲1号に由来する長さ10センチほどの破片が、米スペースシャトル「アトランティス(Atlantis)」と3キロを切る距離まで接近した。この時はアトランティスが回避行動をとることも検討されたが、結局その必要はなかった。

■宇宙ごみの衝突はこれまでに4件

 フランス国立宇宙研究センター(National Centre for Space StudiesCNES)によると、これまでに宇宙ごみの衝突事例として4件が知られている。

 最初は1991年、ロシアの航行衛星コスモス1991(Cosmos 1991)が、すでに機能していなかった自国の衛星コスモス926(Cosmos 926)に由来する宇宙ごみと衝突したが、これが明るみになったのは2005年になってからだった。

 次は1996年、1986年に打ち上げられたアリアン(Ariane)ロケットの破片が、フランスの小型軍事偵察衛星スリーズ(Cerise)にぶつかった。

 さらに2005年には米国の2段式ロケット、ソー(Thor)ロケットの上段に、中国が打ち上げたロケット長征4号(CZ-4)の残骸が衝突した。

 そして2009年には、すでに使用されていなかったロシアの通信衛星「コスモス2251」(Cosmos 2251)と、米イリジウム・サテライト(Iridium Satellite)社の通信衛星が衝突し、大量の宇宙ごみを発生させた。

■高い軌道では100年以上も残る

 1983年6月には、スペースシャトル「チャレンジャー(Challenger)」のフロントガラスに秒速4キロで飛んできた直径わずか0.3ミリの塗料の破片がぶつかり、フラントガラスの交換を余儀なくされた。NASAによると、ISSは宇宙ごみとの衝突に備えて「これまでに作られた宇宙船のなかで最もしっかりしたシールド」を備えているという。しかし、宇宙ごみが接近した時には主に回避行動で対処しており、これまでに数回そうした事態があった。

 地上からの高さが600キロ未満の低い周回軌道では、宇宙ごみは地球に落下してその間に燃え尽きてしまうため、数年以上残ることはない。しかし、高さが800キロ以上の軌道では数十年、1000キロを超える軌道では100年以上にわたって宇宙ごみは地球の周りを漂い続けることになる。

 欧州宇宙機関(ESA)と日本、ロシア、米国は宇宙ごみを減らす対策として、予備燃料を使って意図的に軌道から離脱させられるように衛星や宇宙船を設計するといった指針を出している。また主要な宇宙機関同士や、国連宇宙空間平和利用委員会(Committee on the Peaceful Uses of Outer SpaceCOPUOS)でも宇宙ごみ問題は協議されている。(c)AFP/Richard Ingham

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