【9月13日 AFP】9.11同時多発テロで崩壊した米ニューヨーク(New York)の世界貿易センター(World Trade Center)ビル跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」近隣へのモスク建設計画を進めるイスラム教指導者、フェイサル・アブドゥル・ラウフ(Feisal Abdul Rauf)師は12日、計画を変更すればイスラム過激派を勢いづけるだけだと警告した。

■激化する反イスラム、反米感情

 モスク建設計画をめぐっては、米フロリダ(Florida)州のキリスト教福音派のテリー・ジョーンズ(Terry Jones)牧師が、9.11追悼式典が行われる11日にイスラム教の聖典コーラン200冊を焼却する計画を公表したことを機に、反対運動が激化している。

 ジョーンズ牧師は結局、焼却計画を撤回したが、11日にはワシントンD.C.(Washington D.C.)のホワイトハウス(White House)前で、9.11テロは「イスラムの陰謀」と主張する団体6人がコーランのページを破り捨てた。 

 一方、イスラム諸国では反米抗議行動が拡大。アフガニスタンでは12日、反米スローガンを叫びながら州当局施設に向かおうとした300人規模のデモ隊とアフガン治安部隊が衝突し、治安部隊の発砲で2人が死亡した。 

■「計画変更は過激派の利得に」

 こうしたなか、ジョーンズ牧師はラウフ師への面会を求めて10日にニューヨーク入りしたが、ラウフ師は12日現在、応じていない。

 ラウフ師はこれについて、12日の米テレビABCとのインタビューで「ある宗教の経典を燃やす行為と、異教徒間対話とを、同列に扱うことなどできるわけがない」と述べた。

 また、モスク建設計画について、「もし建設地を変更すれば、イスラム各国メディアは『米国でイスラムが攻撃の標的となった』と騒ぎ立てるだろう。これは過激派を活気付かせ、戦闘員を集めるツールとなる。これが最大の懸念だ」と語った。

 一方で、モスク建設に関して「われわれが下す決断は、すべての人々にとって最善であることが前提となる」と述べ、建設地変更の可能性は排除しなかった。(c)AFP

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