【10月15日 AFP】フランスで14日、年金制度改革法案に反対する高校生のデモが各地で行われ、パリ(Paris)などで警官隊と衝突した。仏警察によると過去の例から、デモに高校生が加わり始めるのは抗議行動が激化する兆候だという。

 パリ郊外の2か所の高校では、生徒たちが学校を封鎖し警官隊へ向かって投石。警官隊は殺傷能力のない暴動鎮圧用の銃で応酬した。また警察は、鎮圧銃によってモントルイユ(Montreuil)で16歳の高校生1人が目を負傷したと発表した。

 年金改革に反対する緑の党(Green Party)に所属するドミニク・ボワネ(Dominique Voynet)同市市長は「高校生に対する警察の暴力」は、「事件を引き起こして、民主的議論を暴力と衝突の悪循環に変えてしまう挑発行為だ」と非難した。
 
 北部ランス(Lens)でも若者が逮捕されたが、トゥールーズ(Toulouse)、ボルドー(Bordeaux)など他の各地では、高校生らのデモは平和的に行われた。

 ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が推進する年金制度改革は、定年退職年齢を60歳から62歳に引き上げることなどを主眼としている。これに反対するフランスの主要労働組合は12日、4回目のストライキと抗議デモを実施、全土で100万人超が参加した。労組側は5回目の全国ストを呼びかけているが、政府は一歩も引く気配を見せていない。

 一方、各地の製油所もストライキに突入し、14日までに仏全土にある12か所の製油所のうち8か所の操業が停止した。石油の供給不足に対応するため、フランス石油産業連盟(UFIP)は政府に非常時用の備蓄分の放出を求めるとともに、製油所を封鎖している抗議の参加者に封鎖を解除するよう呼び掛けている。(c)AFP/Roland Lloyd-Parry

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