【7月8日 AFP】トニー・ブレア(Tony Blair)英前首相は当初、2005年の総選挙で3期目を目指さずに、イラク戦争開戦前に首相を辞任したい意向だったと、元側近のアリスター・キャンベル(Alastair Campbell)氏が英の高級日曜紙「サンデー・タイムズ(Sunday Times)」に明らかにした。

 キャンベル氏はブレア氏が労働党党首に就任した1994年半ばから2003年まで主席報道官を務めた人物で、その間の出来事をつづった日記が9日に出版される。

 同氏によれば、ブレア氏は2002年に辞意を表明したい意向だったという。これは米国主導でイラク戦争が開戦された2003年3月より数か月前になる。辞意を表明すれば、総選挙での敗北を心配することなく不人気な決断を下すことができるというのが理由だったが、キャンベル氏は、そうなれば死に体化した「レームダック」になってしまうとブレア氏に忠告した。

 「われわれはさんざん非難されていた」と同氏は言い、ブレア氏が辞任を思いとどまったのは、数々のプレッシャーや、イラクへの軍事行動が差し迫っていたためだと説明している。ブレア氏は結局、2004年9月に4期目は目指さないと表明したが、この時点で3期目はまっとうするつもりだと述べていた。

 キャンベル氏の日記には、ブレア氏が徐々に批判に動じなくなっていく様子がつづられているという。「本を読み進めていくと、人に何と言われようとトニー(ブレア氏)が気にしなくなっていく様子が分かる」とキャンベル氏。

 ブレア氏は、イラク問題に関する姿勢が自分の身にどう影響するのかも、米ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領子飼いの「プードル」犬呼ばわりされるかもしれないという批判も認識していたが、「それを受け入れる用意があった」とキャンベル氏は話している。

 また、ブレア氏がダイアナ(Diana)元妃を英国大使にしたい意向を持っており、その計画を話し合うためひそかに元妃と会っていた経緯も同書につづられているという。(c)AFP