【3月30日 AFP】米アップル(Apple)の「iPad(アイパッド)」に代表されるタブレット型情報端末は、いまや革命的な教育ツールとして子どもたちの生活に欠かせない製品となった。だが、依存しすぎれば学習障害や行動障害を招く恐れがあるとして、注意するよう専門家らは警鐘を鳴らしている。

「ここ2年あまりで顕著になった問題だ。子どもたちの手からタブレット型端末を取り上げることはできない」。子どものITメディア使用を検証するウェブニュースレター「チルドレンズ・テクノロジー・レビュー(Children's Technology Review)」のウォーレン・バックレイトナー(Warren Buckleitner)編集長は前週、米ニューヨーク(New York)で開かれたビデオゲームが脳に与える影響に関するフォーラムで現状をこのように評した。

 マーケティング会社「キッズ・インダストリーズ(Kids Industries)」が2011年に英米で2200人の親を対象に行った調査によると、3歳~8歳の子どもたちの15%が親のiPadを使用していたほか、9%が自分自身のiPadを所有していた。また、20%が自分のiPodを持っていた。

 この調査では、親たちの77%が「タブレット型端末は子どもにとって有益で、創造性の育成に役立つ」と考えていることも分かった。

■子どもへの悪影響は?

 タブレット型端末については一部専門家から、発達障害や自閉症、注意欠陥障害(ADD)を引き起こす恐れがあるとの指摘が出ている。この点についてフォーラムでは、結論を急ぐべきではないとの見解が相次いだ。

 児童向けテレビ番組の制作に携わる非営利団体セサミ・ワークショップ(Sesame Workshop)のローズマリー・トルグリオ(Rosemarie Truglio)氏は、「テクノロジーは何かを育む一方で、別の何かを阻害するかもしれないもの」「大切なのは、そのバランスだ」と述べた。

 一方、電子メディアが子どもたちに与える影響を分析した『Screen Time: How Electronic Media -- From Baby Videos to Educational Software -- Affects Your Young Child』の著者で、米シンクタンク「ニュー・アメリカ・ファウンデーション(New America Foundation)」で早期教育プログラム・ディレクターを務めるリサ・ガーンジー(Lisa Guernsey)氏は、子どものタブレット端末使用が発達障害につながると批判する人たちは「原因と関連を区別する必要がある」と指摘。その上で、子どもが電子機器を使う時間を制限するよう親たちに呼びかけている。

「あなた方のお子さんは(電子機器の)画面を見ないで30分間、会話に専念できますか?」(ガーンジー氏)

 トルグリオ氏も、タブレット端末を補助的に利用するだけでなく、大人と子どもの間での相互コミュニケーションが必要だと強調する。「インタラクティブ(双方向性)は、必ずしも教育的ということではない」 

 バックレイトナー氏は、全てはバランスの問題と見ている。iPadをベビーシッターにしてはいけないが、子ども部屋の棚に並んだ「おもちゃの1つ」としてはさまざまなものをもたらしてくれるということだ。「直感を信じればいい」と同氏は親たちに勧めている。(c)AFP/Mariano Andrade

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