【7月16日 AFP】フランスの極右政党・国民戦線(FN)は15日、同党のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首の額にナチス・ドイツ(Nazi)のシンボル「鉤(かぎ)十字」を重ねた合成映像をコンサートで流した米人気歌手のマドンナ(Madonna)さんを相手取って訴訟を起こすと発表した。

 問題の映像は、14日夜のフランス公演で「ノーバディ・ノウズ・ミー(Nobody Knows Me)」を演奏中にステージ背後のスクリーンに映し出された。ルペン氏の額に鉤十字を重ね合わせた写真の後には、ナチス・ドイツの指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)を思わせる画像も表示された。

 国民戦線の弁護士はAFPに「鉤十字を付けた画像を映し出すことによって、ルペン氏がナチスだとほのめかしている」と指摘するとともに、侮辱されたとして今週中に民事訴訟を起こす意向を明らかにした。ツアーのプロモーター、ライブ・ネイション・エンターテインメント(Live Nation Entertainment)はこの件に関するコメントを拒否している。

 マドンナさんは現在、新アルバム「MDNA」のツアーで中東、ヨーロッパ、南北アメリカなど世界30か国を興行中。ツアーは来年、オーストラリア公演で幕を閉じる予定だ。パリ(Paris)郊外サン・ドニ(Saint Denis)にあるスタジアム「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」で行われた14日の公演には約7万人のファンが集まった。

 マドンナさんはその過激なパフォーマンスでこれまでにもたびたび話題を集めている。フランスのジャック・シラク(Jacques Chirac)大統領(当時)も訪れた1987年のコンサートでは、自分の下着を観客席に投げ込んで騒動を呼んだ。今回の世界ツアーでも、トルコ最大の都市イスタンブール(Istanbul)で6月に行った公演で乳首を露出したことがメディアで大きく報じられた。(c)AFP/Mathieu Foulkes