漫画「ワンピース」麦わらの一味の海賊旗、インドネシアで抗議の象徴に
このニュースをシェア
■「日本の漫画の旗にすぎない」
AFPは2日前に大統領府に海賊旗についてコメントを求めたが、回答は得られていない。
専門家によると、プラボウォ大統領の経済・防衛政策の一部は民主主義の後退を懸念させるもので、不満を抱くインドネシア国民は、反政府感情を間接的に表明する手段として海賊旗を利用している。
コンサルティング会社グローバル・カウンセルのインドネシア担当主任アナリスト、デディ・ディナルト氏は、「海賊旗のようなシンボルは、不満を言葉にせずとも拡散させることができる」「これは、国の一部が『乗っ取られた』という国民感情を反映している」と述べた。
中ジャワ州ボヨラリ県で食品販売業を営むアンドリ・サプトラさん(38)のように、1週間前から自宅で国旗の下に海賊旗を掲げている人々は、どのシンボルを掲げるかは自分で決めたいと語る。
サプトラさんは、「自分の意見を自由に表明し、自己表現をしたい」「これは日本の漫画の旗にすぎない」と語った。
オンライン文化は、インドネシア政府の腐敗や縁故主義に対する不満を表明する手段として人気がある。
インドネシアでは日本のアニメが人気で、1997年に漫画版の連載が始まった「ワンピース」シリーズで、海賊旗は権威主義的な世界政府への抵抗を象徴となっている。
2月には、プラボウォ首相による大規模な予算削減に反対する「ダーク・インドネシア」と呼ばれる抗議運動が始まった。きっかけは、ソーシャルメディアに投稿されたインドネシアの神話に登場する神鳥、黒いガルーダと「緊急警報」の文字を描いたロゴだった。
2016年と2019年にもオンラインで抗議運動が起きた。デディ氏は政府が「今回の抗議運動もこれらと同じデジタル時代のやり方にならっている」と懸念している可能性があると指摘している。
世代間の溝もある。年配世代は国旗を何世紀にもわたる植民地支配の末に苦労して勝ち取ったものと捉えている一方、若い世代は新たな抗議運動を失望の表れと捉えている。