エアコン需要急増のインド、2050年までに普及率9倍 電力や温暖化懸念
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【6月17日 AFP】インドの首都ニューデリーの貧困地域に住むアールティ・ベルマさん(25)は、なけなしの貯金をはたいて自宅にエアコンを設置した。気温が50度近くまで上がり、命を落とす人もいるインドでは、酷暑をしのぐため、エアコンを設置する家庭が急増している。
昨年のエアコン販売台数は過去最多の1400万台に達し、2050年までに一般家庭での普及率は9倍に膨れ上がる見込みだ。これにより、何百万人もの人々が職場や自宅でより安全かつ快適に過ごせるようになる。
しかしそれは同時に、温暖化をもたらす石炭火力を中心とした電力需要が急増し、室外機から吐き出される熱で、蒸し暑いインドの街の気温がさらに上昇するという問題にも直結する。
しかし、炎天下の中で毎日、何軒もの店舗を営業回りしなければならないベルマさんにとっては、目先の快適さの方が優先された。
「一日中外にいるから、帰宅したら、少しでも快適に過ごしたい」と話すベルマさん。月収は3万ルピー(約5万円)だが、2部屋ある自宅にエアコンを設置するために5万ルピー(約8万円)を投じた。支払いは分割だ。
「以前はバルコニーで寝ていたこともあったが、最近は夜でも暑過ぎて。エアコンはもう必需品だ」とAFPに語った。
インドは現在、世界で最も急成長しているエアコン市場だが、一般家庭での普及率は約7%にとどまっている。専門家は、このまま需要が拡大すれば、電力供給量は現在の3倍に達する可能性もあると指摘する。
インドはすでに温室効果ガスの排出量で世界第3位となっており、政府は2024~25年に火力発電用の石炭消費量が10億トンに達すると見込んでいる。