【12月24日 AFP】仏パリの空港で男がユダヤ人の幼い子どもを「ブタ」呼ばわりし、「パレスチナを解放しろ」「踊れ」と要求する動画が拡散したのを受け、当局が捜査を開始した。パリ警視庁のパトリス・フォーレ長官が23日、明らかにした。

フォーレ氏はX(旧ツイッター)で「これらの容認できない発言に憤慨している」「彼らが罰を免れることはない」と述べた。

さらに、「容疑者の身元を特定し、裁判にかけるための捜査を進めている」「われわれはユダヤ系フランス人への支持を表明し、反ユダヤ主義行為との闘いに全力を尽くすことを約束する」と述べた。

ボビニー検察庁はAFPに対し、人種、民族、国籍、宗教に基づく暴力行為の捜査を開始したと伝えたが、事件の詳細は明らかにしなかった。

Xのアカウント「SwordOfSalomon」が21日、この事件の映像を投稿し、44万回以上再生された。同アカウントは映像について、シャルル・ドゴール空港で6月25日に撮影されたものだと主張している。

動画では、男がテレビゲームをしている幼い男児に近づき、コントローラーを奪って「パレスチナを解放するのか?」「解放しないなら、おまえの帽子(ユダヤ教徒がかぶる帽子「キッパ」のこと)を奪う」と英語で話し掛けている。

さらに片言のフランス語で「踊れ、コション(フランス語でブタのこと)」と繰り返しており、困惑した男児は踊ろうとしている。

同アカウントによると、男はユダヤ系フランス人の子ども2人を標的にしており、1人は7歳だったという。

ユダヤ人団体によると、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃をきっかけにパレスチナ自治区ガザ地区での紛争が始まって以来、フランスでは反ユダヤ主義的な暴行事件が急増している。

フランスのフランスのユダヤ系団体代表協議会(CRIF)のヨナタン・アルフィ代表は、今回の事件は「2023年の攻撃以来、反ユダヤ主義の風潮が欧州にまん延していることを改めて示すものだ」と述べた。

アルフィ代表は、「とどまる所を知らない反ユダヤ主義」に衝撃を受けたと述べた。(c)AFP