【10月31日 東方新報】東京モーターショーから衣替えした日本最大の自動車ショー「ジャパンモビリティショー」(10月28日から11月5日まで一般公開)は、空飛ぶクルマから電池交換式で長距離を走ることができる大型トラック、SFや漫画に出てきそうな充電式のオートバイまで、目新しい電気自動車(EV)であふれている。

 コロナ禍を経て4年ぶりの開催となり、自動車以外の他業種からの参入も増え、過去最多の475社・団体が出展している。従来のように新モデルの自動車だけでなく、奇抜なアイデアや技術の展示も多く、1日で見て回るのが難しいほど。約70年の歴史を持つ東京モーターショーの名称を、思い切って「モビリティショー」に改名したのは適切な判断だろう。

 大企業や新興企業がひしめくブースの中で、人だかりができていたのが中国のEVメーカー、比亜迪(BYD)のブースだ。同社は創業から30年弱で世界最大級の新エネルギー車メーカーに成長し、2021年に世界進出を打ち出した。日本では25年までに100店舗の正規販売店を展開する計画だ。

 同社がジャパンモビリティショー2023で披露したのは、五つの新エネルギー車モデルとコア技術だ。中でも2024年春に日本で発売するEV「SEAL(海豹)」は、その価格帯などから米テスラ(Tesla)のEVと競合する「テスラキラー」になるのではないかといわれている。

 しかし、BYDやテスラ、それにトヨタ自動車(Toyota Motor)をはじめとする日本メーカーが開発にしのぎを削るEV車を見ても、「性能が実感できない」という声をよく聞く。ガソリン車とどう違うのかは実際に乗ってみないと体感できないのだ。

「最近のEV車は別次元」「自動運転が実用段階に入ってきた」というコメントも増えている。自動運転はハードである車体ではなく、搭載されるソフトウエアや連携するプラットフォームに、その性能が左右される。

 また、EV車に搭載されるソフトウエアは購入後もアップデートされていくから、現時点での性能は比較できても、その将来性までは比較不可能である。

 さらに、自動運転が社会に受け入れられるかも重要だ。今年6月には中国のインターネット検索大手・百度(Baidu)傘下の自動運転タクシー配車サービスが、中国南部のIT都市・深セン市(Shenzhen)の一部地域で自動運転の実用実験を開始した。営業時間は午前7時から午後10時までで、朝晩のピーク時間帯をカバーするという。利用者はスマートフォンアプリや百度マップなどのプラットフォーム上で無人タクシーを呼ぶことができるようになっている。

 米サンフランシスコでも今年8月から、完全無人タクシーは解禁されている。ところが、現地時間の10月2日夜、無人タクシーの隣を走っていた車が女性をはね、その女性をさらに無人タクシーがひき、救助隊が来るまで女性を下敷きにして停車してしまった。事態を重視したカリフォルニア州当局は州内での無人タクシーの運行許可を停止し、事故原因の究明を急いでいる。

 カリフォルニア州のように自動運転の利用が拡大すれば、事故や課題は増えていくだろう。しかし、安全性を含む多くの課題はいずれ解決されると予想されている。

 日本でも遅ればせながらシェアライドや無人タクシー導入の検討が始まっている。世界は移動革命のまっただ中。ますますモビリティショーから目が離せない。(c)東方新報/AFPBB News