【8月19日 AFP】米国にとって20年という史上最長の戦争がアフガニスタンで終わりつつあるが、米国のイメージは地に落ちている。

 8月15日、アフガニスタンの政権は瞬く間に崩壊した。米国はアフガニスタン侵攻の引き金となった米同時多発攻撃から20年となる9月11日を、旧支配勢力タリバン(Taliban)が再び全土を支配下に置いた状態で迎える。米国の払った代償は、2500人近い兵士の命と2兆ドル(約220兆円)以上の戦費だ。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は、台頭する中国に対抗して民主主義国の結束を呼び掛けているが、一部の専門家は、米軍撤退後にアフガニスタンの政権が総崩れになったことで、米国の国際的な地位は必然的に低下するとみている。

「米国の同盟国としての信頼性は低下した。理由は、ドーハ会談をはじめ、アフガン政府を見捨てていったやり方だ」とパキスタンの元駐米大使フセイン・ハッカニ(Husain Haqqani)氏は主張する。同氏が例に挙げたのは、昨年カタールの首都ドーハで米国がタリバンと和平合意を結び、米軍の撤退期限を設定したことだ。

 現在は米シンクタンク「ハドソン研究所(Hudson Institute)」の上級研究員を務めるハッカニ氏は、米国の外交官らは最後はツイッター(Twitter)でタリバンに戦闘をやめるよう要請することくらいしかできなかったと指摘。「地上最強国の外交使節らがドーハでもそうだったようにカモにされ、その国の指導者らも、最後は完全になめられていたことを目の当たりにした勢力は、これで勢いづいて二枚舌外交を行うようになるだろう」と述べた。

 撤退のやり方を誤ったとバイデン大統領は厳しく批判されている。米国は在アフガニスタン大使館の人員退避を急いで行ったが、わずか1か月前にはアフガニスタン政府が直ちに崩壊することはないとの見方を示していた。

 米共和党のタカ派リズ・チェイニー(Liz Cheney)下院議員は、今回の件でアフガニスタン以外にも悪影響が及ぶとして、「敵国は、自分たちでも米国の脅威になり得ることを知ってしまった。同盟国は、何でも米国を頼りにしていいのかどうか迷っている」と米ABCに語った。