トランプ氏が「大惨事」と批判する欧州の移民政策、既に厳格化していた
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【12月13日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は、欧州が大量移民による人種入れ替えで「文明消滅」の危機にひんしていると警告する「国家安全保障戦略(NSS)」の公表後、ドナルド・トランプ米大統領は、欧州の移民政策は「大惨事」であり、多くの欧州諸国がもはや「存続不可能」になるだろうとの見解を示した。
8日に行われ9日に公開されたポリティコのインタビューで、トランプ氏は「彼ら(欧州)はポリティカル・コレクトネス(政治的公正)であろうとしているから、移民を出身国に送り返したがらない」と述べ、自身の対移民強硬政策とは対照的だと指摘した。
確かに欧州は依然として外国人労働者を受け入れ続けている。少子高齢化による労働力不足が一因だ。
だがトランプ氏の批判は、欧州諸国が不法移民取り締まりを厳格化し、それが不法移民の流入減少につながっているという現状を無視している。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)によると、EUの在留外国人は2024年1月1日時点で約2900万人で、総人口の6.4%を占める。2021年1月1日時点での在留外国人は2380万人だった。
だが、各国が昨年初めて出した居住許可の数は2023年と比べて8%減少しており、合法移民の数がわずかに減少したことを示唆している。
EUでは在留外国人の約70%が、ドイツ、スペイン、フランス、イタリアの4か国に居住している。
独立系リサーチセンター「シナジーズ・マイグレーションズ」の共同ディレクター、マチュー・タルディス氏はAFPの取材に対し、「私たちの経済の一部は移民の上に築き上げられている」と述べ、フランスを例に挙げ「産業革命はイタリアとポーランドからの労働者の上に築き上げられた」と述べた。
現在でも医療や建設などの一部の業界で、外国人労働者が占める割合が特に高いという。
経済協力開発機構(OECD)によると、外国人医師が全医師に占める割合は、ドイツで22%、フランスで18%、英国で41%となっている。