【7月1日 AFP】カナダで先住民の子どもを収容していたカトリック寄宿学校の跡地から墓標のない墓が多数見つかった問題で、同国の先住民団体は6月30日、3校目の学校から同様の墓が182基見つかったと発表した。先住民学校での虐待に対する謝罪をローマ教皇に求める声が上がっており、国内では同日、2か所の教会で放火の可能性がある火災も発生した。

 先住民団体ロウアー・クートニー・バンド(Lower Kootenay Band)の発表によると、西部ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州クランブルック(Cranbrook)近くの聖ユージーン・ミッション・スクール(St Eugene's Mission School)で、専門家チームが地中レーダー探査を実施したところ、7~15歳の児童・生徒の遺骨とみられるものが多数見つかった。

 ブリティッシュコロンビア州では5月にも、カムループス・インディアン・レジデンシャル・スクール(Kamloops Indian Residential School)の跡地で、墓標のない墓から先住民の子ども215人の遺骨が見つかっていた。さらに先週には、中部サスカチワン(Saskatchewan)州の学校でも墓標のない墓が751基発見された。

 カナダでは1990年代までに、先住民の子ども約15万人が強制的に国内139か所の寄宿学校に入れられた。子どもたちは自分たちの文化や言語から引き離され、教職員から暴行や性的虐待を受けた。この問題に関する調査委員会は、4000人以上が病気や世話の放棄により死亡し、カナダが「文化的ジェノサイド(大量虐殺)」を行ったと結論付けた。

 警察によると、6月30日にはアルバータ(Alberta)州とノバスコシア(Nova Scotia)州の教会で火災が発生。捜査当局は、放火の可能性があるとして調べを進めている。カナダでは最近、このほか6か所の教会で不審火が発生。教会の大半は先住民地域に位置しており、赤いペンキで落書きされた施設もある。(c)AFP