【6月18日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は17日、最高裁判事にマフムード・ジャマル(Mahmud Jamal)氏を指名した。国民の約4人に1人が非白人系人種とされるカナダで、最高裁判事に有色人種が指名されるのは初めて。

 ジャマル氏は1967年、ケニアの首都ナイロビでインド人の家庭に生まれ、英国で育ち、1981年にカナダへ移住。カナダの名門ロースクール2校で教壇に立ち、弁護士として控訴審35件を担当するなど長年活動した後、2019年からオンタリオ(Ontario)州控訴裁判所判事を務めていた。

 トルドー首相はツイッター(Twitter)の投稿で「彼は最高裁にとって貴重な人材となるだろう。だからこそ本日、私は彼を最高裁判事に指名する歴史的な発表を行う」と述べた。指名は下院司法委員会の形式的な審査を経て承認される見込み。

 カナダは多文化国家で、最新の国勢調査では人口3800万人の約4分の1が可視的少数派(ビジブル・マイノリティー、先住民を除く非白人系人種)とされている。

 しかし、最近のイスラム教徒への攻撃や、政府の委員会が「文化的ジェノサイド(大虐殺)」とみなした歴史的な先住民族に対する扱い、黒人やその他の非白人系住民に対する警察の暴力行為などは、カナダで今も人種差別が存在することを浮き彫りにしている。

 ジャマル氏は、最高裁判事9人の中で在任期間が最も長く、7月1日に退任予定のロザリー・アベラ(Rosalie Abella)判事の後任となる。(c)AFP