【6月20日 CNS】今、中国では、動画観賞で稼ぐ、ゲームで稼ぐ、ウォーキングで稼ぐなど、スマホの「稼ぎタスク」に夢中になる高齢者が少なくない。しかし、稼ぎタスクは広告ばかりで、標榜していた高収益はなかなか実現できず、個人情報の流出などの問題に直面する人がいる。

 取材によると、稼ぎアプリは新しいものではなく、以前から一世を風靡していた。若者を動かすことができなくなったため、一部のアプリでは高齢者をターゲットにしているという。

 楊宝東(Yang Baodong)さんは、定年後に稼ぎアプリのプレイヤーになった。これらのアプリは、コストをかけずにお金を稼ぐことができると称し、ユーザーが登録するとさまざまなタスクが与えられ、動画を見たり、サインインしたり、友達を誘ったりすることでプラットフォームからトークンを受け取り、トークンを現金化するものだ。業界用語では「零擼(コストゼロから稼ぐ)」という。

 楊さんは毎日、起床時からスマホにある10余りの稼ぎアプリを順に開いてタスクをクリアする。2年余りの間に、彼がダウンロードしたアプリは、広告を見て稼ぐもの、成語を当てて稼ぐもの、ゲームをして稼ぐものなど、さまざまだった。「歩いても、食べても、買い物をしても、寝てもお金になるアプリもある」

 計算してみると、すでにダウンロードした10余りのアプリを同時に使い、毎日やれば、1か月で100元(約1718円)ぐらい稼ぐことができるという。もう一人の稼ぎアプリのプレイヤーである王海濱(Wang Haibin)さんによると、一部のアプリではユーザーが新規登録する際に惜しみしなく、十数元の新人券を贈る。ユーザーはアプリ内の財布の中にそれを預けた後、アプリ内のさまざまな稼ぎタスクは難しくはないことに気づき、たちまち高揚してしまう。「私が使っていたあるアプリは、利用期間の経過によって、1元(約17円)の報奨金がもらえるのに、500分間の動画や広告を見ないといけない。30元(約515円)の報奨金を貯めると換金できるので、合計250時間を使わないといけない」と、王さんは語った。

 中国科学院大学(University of Chinese Academy of Sciences)コミュニケーション学院の張増一(Zhang Zengyi)教授は、ユーザーが既に獲得したトークンを換金するために、継続してサインインしたり、タスクを行ったり、さらに多くの友人を招待したりすることで、ユーザーはさらに多くのポイントを獲得できると分析している。最終的には、ユーザーはアプリに縛りつけられてしまい、止められなくなる。

 記者は取材の中で、稼ぎアプリを利用した一部のユーザーには、ダウンロード後間もなく、スマホに迷惑電話が頻繁にかかってくるようになった者もいることを知った。内容は「ネット・ローン」や「架空注文」などだという。

 王さんによると、稼ぎアプリの中には、タスクを実行する際に他のインターフェイスにジャンプしてソフトウェアをダウンロードさせ、登録や実名認証を行わなければならないものもある。「個人情報が簡単に集められ、パッケージ化され売り出されてしまった。お金を稼ぐつもりだったのに、自分が『商品』になったとは思いもよらなかった」という。

 陝西恒達弁護士事務所の高級パートナーで著名な趙良善(Zhao Liangshan) 公益弁護士によると、以下のような場合には、広告法による対応が可能だという。広告主やアプリ運営者は宣伝や広告を通じて消費者を誘導し、誤った意思表示をもたらす場合、例えば、個人情報や、プライバシーにかかる授権を通じ、他人による不法収集・使用をもたらす場合、また、広告の内容が実際と違っていたり、設置したタスクと実際の宣伝が大きく食い違ったり、アプリの使用効果を悪意に誇張し消費者にダウンロードさせたりした場合、広告主、アプリ運営者の双方がともに虚偽の広告の疑いにより、広告法によって処罰され得るのだという。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News