【9月15日 CNS】中国・陝西省(Shaanxi)の木工職人・傅平(Fu Ping)さんが3年の歳月をかけ、2000年以上前の古代戦車を再現した。ほぞ穴とほぞを使い、くぎを一切使わない伝統技術で実現した。

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 陝西省西咸新区に住む傅平さんは、木工工房「礼義成」の5代目で今年68歳を迎える。15歳から父親と木製の荷車を作ってきたが、機械化の普及に伴い木製の荷車が使われなくなり、最近は建築関係の仕事をしていた。しかし、匠の仕事と離れがたく、長年閉めていた工房を2014年に再開。2台の木輪荷車を相次いで制作した。その伝統技術が評価され、2015年には陝西省の無形文化遺産に登録された。

 傅さんが次に挑んだのは古代戦車の再現だった。2016年末から甥の李府容(Li Furong)さんともに、山東省(Shandong)の古車博物館など古代戦車を展示する全国各地の博物館を見学。古代の産業技術を図解入りで解説した古文書「天工開物」など十数冊に目を通した。

そして傅さんたちは、戦国時代の楚王の墓と言われる河南省(Henan)の馬鞍塚(Maanzhong)から出土した戦車を同じサイズで再現した。車両の幅は1.6メートル、車軸長は3.2メートル、車両長は3.4メートル。轂(こしき、車軸の丸い部分)の直径は極めて小さく、轂の復元だけで60時間近くを費やした。24本ある車輪の輻(や、スポーク)も忠実に再現。今後は車上の青銅の装飾も復元する予定で、完成すればその姿は壮観になることは間違いない。

 傅さんさんと李さんは「古代戦車の復元計画はまだまだ始まったばかり」と話す。今後は漢代の戦車の復元に取り組み、さらに甲冑(かっちゅう)や刀剣、弓矢の復元も考えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News